はじめまして
前作の当て馬として頑張ります!のメンバーも出てきます。
雨上がりのお昼休み。
キラキラと雨粒に反射する太陽の光。
「好きだ。付き合ってくれ。」
その日、私は学年で一位二位を争う男の子から告白された。
「………御断りしま~す。」
私にとっては良い迷惑だった。
「は?何言ってんの?俺以上の男なんてもう、あらわれないよ。」
こんなこと言われて、そうですね。じゃあ付き合います!なんて誰が言うんだ。
この男は顔にだけ栄養をあたえて中身スカッスカだな。
「もう、良いですか?失礼します!」
私は彼に背を向けて教室にむかったのだった。
冒頭からすみません。
私、篠崎日和と言います。
私が通うエルモニア高校は由緒正しいお金持ち高校です。
私は庶民です。
庶民も勿論通えます。
優秀だと認められれば学園が褒賞金をくれます。
それで通えるのです。
ですからこの学園にいる庶民は皆頭が良いか、スポーツが秀でて居るか、などの多才性がある生徒であるのです。
私は学年一位。
だから通えています。
ちょうど食堂の前を通ると声をかけられました。
「日和ちゃん。」
「麗様。」
彼女、神津麗様は小さい時によく遊んでいた一つ年上の幼馴染みです。
綺麗な黒くストレートロングの髪の毛は手触りが良さそうで黒く大きな瞳は黒真珠のような美しさです。
「昔みたいに麗ちゃんって呼んでも良いんですよ。」
流石に今、その呼び方をする勇気はありません。
「いえ、麗様。私は麗様を尊敬しています。様付けさせてください。」
「そう言われると無理強い出来ないよね。」
なんなんだこの可愛い生き物は!
同性の私でもドキドキします。
自分の赤みがかった茶色い髪の毛はパーマをあてたようにうねってしまう猫っ毛、そんな髪の毛が大嫌いな私には麗様が憧れです。
明るい茶色の目もあまり好きじゃないから、少し視線を外します。
「麗姉さん?その子………ひよちゃん?」
そこにあらわれたのは黒髪黒目、猫っ毛をショートボブにした男。
「柚樹君。私は隣のクラスだよ。」
柚樹君は麗様の従弟で何度か遊んだ事があります。
例えるならあまりなつかない黒猫みたいな人です。
「変わんないね!また、一緒に遊ぶ?」
なつくまでに時間がかかりましたが、今はなついているので普通に話てくれます。
彼の言葉攻めで泣いたことが数えきれないほどあるので苦手ではあります。
「遠慮します。」
私の言葉にクスクス笑う人が居ます。
未来先輩です。
私の所属しているPC管理部の先輩で頭の良い庶民組の先輩。
皆の憧れの先輩です。
「麗と知り合いだったなんて知らなかった。」
「未来ちゃん!僕が断られたから笑ったんでしょ!酷いよ!」
「お前が凹むとスカッとするんだ。何でだろうな。」
「ムー。」
未来先輩はどうやら柚樹君と仲が良いようだ。
「仲良しですね。」
私がポツリと言うと、柚樹君は嬉しそうに笑いました。
「そう見える?流石ひよちゃん。今未来ちゃん狙ってんだ!なんかあったら協力してね!」
「そ、そうなの!私で良ければ協力するよ!頑張って柚樹君!」
「こら!日和!先輩売ってんじゃねえぞ!」
未来先輩に滅茶苦茶睨まれます。
「だって、先輩将来の夢社長夫人でしょ!柚樹君会社いくつも持ってる社長様だよ!天才少年で凄いんだから!」
未来先輩がギョッとした顔をしましたよ。
まあ、柚樹君から逃げるのは無理だと思われます。
私は皆様に頭を下げて食堂を後にしました。
そんな私にはたくさんの秘密があります。
実は、昔お金持ちの令嬢でした。
だから、麗様と幼馴染みなんですよ。
そして、私が今庶民である理由。
まあ、ただの両親の離婚なんですけどね。
私は母について行ったので庶民になりました。
加えて、実は2つ年上の兄が居ます。
しかも、この学校の生徒会長。
宮浦太陽っていって、私と同じ赤みがかった茶色い髪の毛で短髪、癖っ毛のせいで少しエンジェルパーマのようになってしまっているのにそれが似合っている、明るい茶色の瞳は優しげでイケメン。
ちなみに極度のシスコンだ。
迷惑極まりない。
ってな訳で兄には学校で話しかけるなと厳しく言っている。
兄が暴走しないように協力してくれているのは副会長である城井雪兎さんです。
雪兎さんは私の元婚約者だ。
未だに好きなのは迷惑以外のなにものでもないだろう。
ストレートな黒髪を清潔感ある短めに切り揃え黒い瞳を隠すようにかけている薄目の銀縁眼鏡がよく似合っている人。
優しくて頭の回転が早くて格好いい。
私の好きな人。
もう、好きだなんて言えないけど彼の役に立ちたい!
だから、この学校を首席で卒業して彼が継ぐはずの会社に就職します。
私はそう決めてこの学校に来たのだ!
じゃなかったら、兄が居る時点でごめんだ!
兎に角私は夢に向かって一歩を踏み出すのだ。
こっちを先に書く予定でした。
雪兎さんの姓を変えました。




