優しい死神
一年のほとんどを雪に覆われている町メイア。
一定の間隔で全身黒づくめの男がやってくる。
黒いズボン、黒いジャケット、黒い帽子、それが彼の服装だった。
彼は町の住民から、こう呼ばれていた。「死神」と。
別に彼は何か悪い事をするわけではない。
むしろ礼儀正しかった。
ただ、彼は極端に人と交流するのを嫌った。
そして、彼がくると必ず誰かが死ぬ。
そのため、彼の恰好とあいまって「死神」という名前はあっという間に広まった。
彼は町にくるとまず、町長の家に行き、余命いくばくもない重病者の家に行く。
この街には医者がいたが、大病を直すことができるものはいなかった。
正確には大病を直すだけのお金を払うことができるものがいなかった。
そのため、ある一定以上の大病を患った場合、死を待つしかない。
彼はある一定以上の大病を患い、余命がもういくばくもない患者と会う。
彼と会った患者は数日後に必ず亡くなった。
だが、彼に陰口をいうものはいたが、直接悪くいったり、石を投げたりするものはいなかった。
それは、患者の家族が彼に感謝していたから。
そして、彼が帰る時帽子の影から見える目元が毎回赤く腫れていたから。
いつしか、彼は「優しい死神」とよばれるようになった。
ふと思いついたので書いてみました。
本編読みたい方がいたら、書こうかなと思います。