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夏生詩集

下手なりに

作者: 夏生

タイトル変更しました。

丁寧に丁寧にやっている

つもりでも

崩れてしまう乱れてしまう

ずれてしまう壊れてしまう


手抜き、いい加減

ふざけている

途方にくれた私の背中に

ぶつけられた言葉



違う、と否定したい

一生懸命がんばっている

と、叫びたい

悔しさで重くなった、くち

こみ上がってくる涙



見た目は器用そうね、と

母に言われた手をじっと

見つめた



心とは真逆の動きをする手に

爪を強くたてた

剥けた皮の下から深紅の血が

にじみ出た


何も触れなければ

何も動かさなければ

誰に迷惑をかけることも

ないのじゃないか?


ふて腐れた心は

放棄へと動きだそうとしていた


慰めてくれる言葉を探し回って

手にした本を開くと


ゼロにかけろ!

無理だと思う方向に挑んでいけ!


本から飛び出した言葉は

私の襟首を掴んで

目をむいて食らいついてきた



下手の方がいい

下手だ、どうだ参ったか!と

堂々としていればいい


激した言葉に揺さぶられて

唇が震え、涙が止めどもなく

流れ落ちた


下手で不器用な自分を蔑んでいたのは

自分自身だったのだ


何を言われようと

下手なりに一生懸命やればいい

それでも駄目ならその時さ


激した言葉の奥から

やさしい言葉が出てきて

私の頬にそっと触れた


ありがとう、もうちょっと

がんばってみます


心の中でお礼をいって

ふて腐れた心は破いて棄てて

大きく堂々と一歩踏み出した









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