続き 5
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それからというもの、ミッチーは完全なる零の子分となり、アタマが上がらなくなったのだった。
「おいミッチー、あそこにいる金髪に向かって○モ野郎って言って来いよ。面白いぞ。」
「えー、やだよ、あれオトナじゃん、怖いよ。」
零が指差した金髪男を見て、ミッチーは泣きそうな顔をした。
「ああ、きっと怖いだろうな。そうか、嫌か。ふぅん…」
零が目を細めると、ミッチーはびくっとして前言を撤回する。
「ぃ、イヤじゃないよ、やっぱ…行ってくる。」
渋々。
「くっくっく、お前、やっぱシンユー。」
機嫌よく零が笑うと、ミッチーは気を取り直してうん、と笑顔を見せた。
親友、の響きが嬉しいらしい。
ミッチーが走っていき、少し離れたところに居たその金髪に、例の言葉を浴びせる。
少し間をおいて、ミッチーがこちらに逃げてくると、すぐに零も見つかった。
金髪が、走ってくる。
「じゃあなミッチー!また今度だ!」
叫びながら零はミッチーを置いて走り出した。
「えー?!ズルいよ、なゆー!!」
「またなぁ!ははは!あははは!」
金髪はミッチーに目もくれず、笑いながら走る零を追いかけた。
「れーぃ!待てぇええ!バレてんだからねええええ!レイちゃんに言いつけるぞぉー!」
言うまでも無く、金髪とはスズキだ。
「ははは!零って誰だよ、俺は なゆた だ!はははは、ははははは!」
楽しそうな笑い声が、スズキの怒声と共に遠ざかって行った。