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居候日記  作者: narrow
26/95

続き 2

   ◆

 レイのちょっとしたストレスは、実はしっかり零に伝わっていた。

 何せ彼は、“悪魔”だ。

 不安と、嫉妬。

 どちらも“悪魔”の良い養分だ。

 ついでに、嫉妬の原因がささいであればあるほど、レイが自分に執着していることが感じられて、零は気分がよかった。

 その後レンタルショップでDVD(過去のアンパンジャー作品)を借りる時も、家まで帰る間も、帰り着いてからも、ユゥちゃんは零にベッタリだったが、零はそれを放っておいた。

 レイも大人だったから、表面上は何事もないかのように、ユゥちゃんと仲良くしていた。

 彼女が帰るまで、きちんと。

 「ゆーう、そろそろ帰れ。」

 暗くなり始める時間帯になり、零はユゥちゃんにそう言った。

 「おうちまで送ってくれるなら帰るーぅ。」

 はい、またワガママ始まりましたー。

 口には出さず、零は思った。

 レイも、そんな顔をしていた。

 「ユゥ、そういうワガママはダメだ。」

 珍しくマトモなお説教らしき言葉を口にした零を、レイが少し驚いた目で見つめる。

 「えー、ユゥちゃんワガママじゃないもーん。」

 「ワガママだ。」

 零の言葉に、レイが小さくうんうんとうなずく。

 「いいかユゥ、いつも言ってるだろ?相手に言うことを聞かせたかったら、可愛く“おねだり”するんだ。できるな?」

 続いたセリフに、レイの表情がいぶかしげなものに変わる。

 「いつも?」

 レイの疑問に、答える者はいない。

 「あ、そっか。レベルの高い愛人は“おねだり”がうまくないといけないんだもんね。」

 ユゥちゃんの言葉を聞いて、レイの表情はさらに曇っていく。

 「ああ、そうじゃないと“彼女”に負けるぞ

?」

 うん、とうなずくと、ユゥちゃんは一瞬きりっとした表情を見せた。

 レイはあんぐりと口をあけ、間抜け全開の表情を浮かべる。

 「ユゥちゃんー、ストーカーとか怖いしぃ、どうしても なゆに送ってほしいのー。」

 カラダをクネクネさせ、困ったふりをしてみせるユゥちゃんに、零が心なしか満足げな目でうなずいた。

 「そうだ、か弱いフリはいろんな場面で使えるからな、普段から積極的に出していけ。それが、良い練習になる。」

 「うん、ユゥちゃんりっぱな悪女になって、なゆに好きって言わせるからね!」

 「ふふ、じゃうまくできたゴホウビに今日は送ってやる。次から一人で帰れよ?」

 ぱかーんと口をあけたまま、動けずにいるレイを放置で、零とユゥちゃんは部屋を後にした。

 「なにコーチしちゃってんの・・・零さん・・・」

 一人残されたレイは、小さな声でつぶやいた。

(続)

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