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新しい物語  作者: 熊さん
第一章:佐久平への統治
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雨が続く

雨が続く



昨日から雨が続いて降っていた。


昨日の事は、忘れろと娘に伝えた代官。

山彦も間違えて森に入ったと言っていた。

縄文の森は、得体が知れない。


もう代官は、相手にしなくて良い。

彼らは我々とは違う所で生きている。

そう考えていた。


朝の食事で、忘れろと言われてしまった。

しかし桜は、名前も知らない森の男への憧れが膨らんでいた。

あの方は、優しい声で話しかけてくれた。

世界を知っていた。


雨が強く降っていく。


縄文の森では、雨が強くなるのを恐れて懸命に動いていた。

山彦は、それぞれの小屋を周り、足りないものが何かないか、手伝えることがあると…手を出し、歩き回っていた。


春の嵐のような雨になっていた。


兵達は、待機場所に集まっていて、縄文の森について話し合っていた。


「奴らは、許せない。」


「あんな奴ら、戦えば勝てるんだ。」


「森をゆっくり攻め込めば、いいんだ。」


冬が過ぎ、春になって現場の兵達が、言うことを素直に聞かない縄文の森の事を敵視する。

連中は、大いに怒りを盛り上げていた。


集落を周り、雨の強さを確認した山彦は、ようやくひと息を尽き、例の穴に入って行った。


「婆様、雨が酷くなったが、何とか準備は整ったぞ」


「ご苦労だったのぉ。山彦、昨日の昼過ぎ、大変じゃったな。ようやった」


何かと別なことがあったか?

山彦は何をしたのか忘れていた。


「屋敷の娘を助けたじゃろ」


あ、山彦はやっと思い出した。

今日の雨の騒動ですっかり忘れていた。

あれは、当たり前の事をしただけだ。相変わらず、キョトンとしていた。


「山彦よ、お主はそれで良いが、罪な事をしたな。騒が起こるかもな」


婆様は娘の思いや兵達の心の動きが気になっていた。

兵の心の動きは、春の嵐より大変だ。


理を崩してるのは奴らの方なのに。


人の動きは、ままならない。山彦は、何が起きても受けて断つしかないと、覚悟していた。


雨は春の嵐。

雲が流れてしまえば、晴れ渡る。


夕方には佐久平が真っ赤に染まっていた。


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