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新しい物語  作者: 熊さん
第一章:佐久平への統治
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代官が来た

代官が来た


佐久平は、縄文の森から、よく見渡せた。

佐久平では米作りの他に、馬が駆け回るようになっていた。馬は、農耕だけでなく、兵が乗り戦いに使われるからであった。


そして、新たに整備された道の脇に大きな建物が作られようとしていた。

農民の多くが、その建物を作るのに携わっていた。


縄文の森は、平地からは見えない。

ただ森が広がっていただけであった。

森の入り口周辺は、狩りで、たまに人が来る程度で、山の中には関心が無かった。


森の中で、見張り役の者と山彦が話していた。


「大きな建物が造られると思う。何か不審な感じだ。」


「兵も増えてきているようだ。」


馬が平地を走り回り、兵たちが増えている。平地に新しい何かが生まれているのだろう。

近畿圏の力がまとまることにより、この地にまで、その力が及び始めているのだろう。


かつて、広がっていた米作の地としての平和な佐久平にも、新たな支配が迫っているようであった。

平地では、民が使われ、働かせられるように見えた。


それから暫く、見張りを続けていたが、縄文の森から、数人、建物の構築の手伝いに入るものがいた。


建物の建設は、大がかりで、広く佐久平から、集められているようで、中に入っても森のものであることを咎められることもなく、入れた。


支配で動いている兵にとって森のものも佐久平のものもなかった。


土地をならし、湧水の出る場所をうまく使って、大きな建物が少しづつ出来上がっていた。


農民はまさにやらされていた。

疲れた顔を隠しもせずに、黙々と働いていた。


縄文の森からは、山彦が、手伝いとして工事に入り込んでいた。

山彦は、仲間と観察を続けていた。


春先から続いた建築は夏ごろにようやく姿が固まってきた。

兵たちはこの建物に住むわけじゃないらしい、彼らは周りに建てられた小屋で寝起きをしていた。


秋、収穫の時だ。


工事は終わり、建物が完成した。


農民たちは、収穫のために、急いで集落へ帰って行った。


カパ、カパ、カパ


まもなく、馬の行列が来た。

2列になって進んできた。


続いて、人が先頭で、車輪の付いた台車が進んでくる。後ろに二人、押している。

それが数代続いてきた。


代官の登場だろう。四角い箱のようなものの中味は見えない。

屋敷に近づいて来ると隠れるところがない。


山彦たちは、仕方なく、屋敷から離れ、山に戻っていった。


「ありゃ、代官だろう。どうなるんだ。」


山に入り、姿を眩ませると、山彦が呟いた。


秋の夕焼けはやけに赤く、佐久平を染めていた。


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