警戒
警戒
佐久平にも、人が戻って来ていた。
気温が少し戻ったのだろうか。
米作が少しづつ回復して来ていた。人の暮らしも戻って来ていた。
近畿圏では、九州勢力と和解が進み、大きなひとつの権力として動き出していた。
近畿圏から愛知を抜け、伊那、諏訪湖を通り、山を迂回し上田、小諸から佐久につながる大きな道が整備されて来ていた。
相変わらず山に囲まれていた佐久平は、生活圏として回復しつつあった。
縄文の森では、世の中の動きから外れた場所として存在していた。
穴の中の二人の会話が続いた。
「山彦、大きな力が向かっておる。いまは、まだ気配しか分からぬ」
「近畿圏か?」
どうじゃろうなと、婆様にもハッキリとは分からないようだった。
この集落には、木で囲まれた広場があった。小屋を作る時に木を切り出し、空地になった場所に櫓を組み上げた広場た。
集落の仲間たちが集まって来た。
子供たちと世話をするものを除いて、全員が集まっていた。
山彦が話す。
「昼間の揺れは、森に不穏を呼んだ。新しく整備されてる道づたいに事が起きそうた。」
皆は緊張した。婆様が言ったのか?皆の声が響く。婆様に確認したと山彦が答え、ざわついてきた。
「見張りのポイントを確認する。皆協力してくれ」
山彦たちは、担当の者が数人が集まり相談を始めた。
櫓の火は、控えめではあったが、カチカチと木が割れる音を繰り返し響かせ、緊張する夜は、深まった。
空には月が輝、星屑が散りばめられたように光っていた。
森の谷の方から風が吹いてきていた。
縄文の森は、佐久平の人からは、知られていない。隠れ里だった。




