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新しい物語  作者: 熊さん
豪族の種
13/14

近畿圏の女

近畿圏の女



代官が屋敷を空けている。


冬の夜、カンタが山彦の所に駆け込んできた。


「族長、どうしましょう。兵の一部が代官に断りもなく、集落のひとつに入り込むらしいです。」


「裏切り?か。」


「どいつだ。分かるか?」


「はい、かつて、3人組で戦いに来た頭の兵士です。始めから狙ってたみたいです」


「よし分かった。誘われても適当に誤魔化して、屋敷に留まれよ」


「いまなら、誘われてますから、裏切り者に付いていけますよ。」


「良いんだ。代官は、確かに弱腰だったが、近畿圏の力は上だ、屋敷にいろ」


肝心なのは近畿圏の動きだ。

と山彦は言い切った。

カンタは、山彦を信じ、急いで戻る。


翌朝、代官の屋敷の待機所に集まる数人の兵士。

屋敷の者達は、何が起きてるか分からない。

総勢15名の兵が、佐久平の集落に向かった。

カンタは、誘われたことも含め、黙って見送っていた。


佐久平の集落は点在していて、この3年で兵は、自分たちで纏められそうな集落を決めていた。彼らにも近畿圏との繋がりがあったのだろう。


佐久平でのこのような動きは、諏訪湖でも山梨方面にも伝わっていた。

浅間山という自然の脅威が目の前にあるが、広い平地の豊かな土地は、狙い目の場所であった。


しかし、動きはこうした動きは、伝わるが、動くにはまだ時間がかかった。


縄文の森の穴の中、婆様と山彦が話し合っていた。


「婆様、動いたぞ、裏切りだ。」


「裏切りとは違うかもな。多分その兵達にも近畿圏のつながりがあるんだろう。佐久平は、広い」


「という事は、他からもまだ来るのか?」


「そう成るじゃろう。」


こりゃ徹底的に隠れる必要があるな。

山彦は、隠れ里としてのこの集落を守らねば、世の中の動きに巻き込まれる。

婆様の穴はかなり深い所だが、集落の維持の為には、集落の場所をもっと深くに、移していく必要を感じていた。


春になり苗木を育てる時期になり、代官が戻ってきた。


山彦は、行列が戻るのを見ていた。


パカ、パカ、パカ


行列を見て、兵が増えている事に気が付いた。


《こりゃ、婆様のいう通りだな、裏切りというより、増殖だな》


荷車も多い。


四角い大きな箱のような荷場所も来た時と同じだ。


《あれは、娘が乗ってたよな、帰ってきたのか?》


4年目の行列は、民たちにも知れ渡り、見に来る連中も増えていた。

山彦は、見に来てる皆の姿を真似していたので、区別がつかない。

屋敷の門の近くで、眺めることにした。


四角い大きな箱が入って来た。

代官が降りてきて、次に現れたのは、娘じゃない。


黒髪のスラッと伸びた。いかにも雅な女性であった。

これが、近畿圏の女か。


山彦は、威圧とは別の圧倒する力を感じ、立ち尽くしてしまった。


春になった、明るい日差しが差し込み、緩やかな風を感じていた。


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