秋の収穫
秋の収穫
カンタは働いた。
既に縄文の森で狩りの仲間であったカンタには楽な仕事ばかりであった。
家臣たちや兵達にも可愛がられていた。
2年目、桜も17歳になっていた。
カンタは、夏前に代官から、護衛に昇格して、兵との訓練もするようになった。
短めの剣を器用に使って、兵にも対等に戦えた。
代官は、様子を見ていて、桜の護衛に抜擢した。若さが桜に合ってると感じたからだ。
夏に入り、桜が外に出たいと言い出した。
桜は父から離れたいと感じていた。
カンタは警備として桜を警護しながら屋敷のある整備を進めている東山道ルートを通り、山の景色や植物の話等、浅間山の麓の自然の話をするのであった。
桜は、屋敷から解放され、自然に触れ、カンタの知識が山の人のものであると考えるようになった。
「カンタは、山の人なの?」
カンタは慌てて、否定し、佐久平の集落のものだと話した。
桜はケラケラと笑い、そうなんだと、それはどちらでも良いという風に笑った。
カンタは仕方なく、桜と一緒に笑った。
笑うしかない、と感じていた。
その年、桜に縁談の話が持ち上がった。
その夜、密かに抜け出した。カンタは、山彦に報告しにいった。
娘の桜の警護で浅間山の麓を散策し、山の人かと聞かれたこと、彼女に縁談の話が持ち上がった事などを報告した。
山彦は、婆様に相談した。
「もうそろそろ引き上げた方が良いのでは、娘の桜にバレかけてる」
「山彦、カンタはまだ使える。山の民だとバレたとて、問題ないわ」
山彦は、バレたら引き上げれば良いだけの事、カンタが使える限り使えば良いと判断した。
桜は、自分が政治の道具として扱われていることに気づいていた。
この地に来て、偉いはずの父に力がなく、兵もわがままな事を確信するようになっていた。そして、カンタは、違うと感じていた。
秋に収穫が集落で始まっていた。
桜は父に頼み、集落の収穫を見たいと申し出た。
父である代官は、最後の頼みになると許し、カンタを警備に付けることで許した。
収穫の時、桜は乳母と警護のカンタと集落に向かった。
事前に山彦にも報告をしていた。
山彦は、密かに集落に来ていた。
長に頼み、収穫を手伝っていた。
桜は、集落に到着すると、干し上がった稲穂は広い空地に集落の民が集まり、パンパンと籾を落とす作業を始めて見た。
稲穂が狩られ、干された事はすぐ分かり、稲穂を叩き籾を作るのは始めて見る。
パンパンパン
リズムに合わせるような音。
民達の笑い声。
楽しそうなその様子を真剣に見ていた。
桜は、気が付いた。
代官である父、兵達。
彼らは、何もしていない。
こんなに汗水垂らして、働く民達。
偉いから違うのか。
近畿圏から我らが来る前から居るはずの民。
近畿圏から支配という形で、籾を取り上げる代官。
山彦に助けられた桜にとって、モヤモヤが溢れて来ていた。
隣でカンタは、ニコニコしながら見ている。カンタはこっちの人間?
それも違う、、、
桜が矛盾を感じ始めた時、目の前に山彦が現れた。
「桜殿、お久しぶりです」
何で、ここにかつて自分を助けてくれたんた男、山彦がいるの?
桜は驚いた。
佐久平の集落にはパンパンパンと笑い声。
音だけが響き、桜には頭を整理する時間が必要だった。




