カンタ
カンタ
縄文の森に戻ると皆に見事にこなした事に感謝した。
「本当によくやってくれた。リカもリーダーとして良くやった」
皆を労うと、婆様のところへ入った。
「婆様、何とか無事に済ませた。皆のお陰だ。」
「うむ、森の危機感がサッと消えたわい。だが、兵は心配じゃのう」
山彦は、婆様の言葉で、手立てを考えていた。
婆様が続けた。
「若いのを屋敷に入れるしかないかのう」
若いのか、あ、と手を打って思いついた。
リカの弟がいたな、あいつは確か16歳ぐらいだった。
「婆様、リカの弟のカンタなら良いんじゃないか?」
「おう、カンタか。ちょうど良い。」
山彦は、リカの小屋に行き、カンタを探した。
「カンタ、俺だ。」
リカとカンタが出てきた。
カンタに俺について来いと言って、リカに簡単に説明し、連れ出した。
佐久平の集落の顔見知りの長の所に向かった。
歩いて、カンタにしてもらう事を説明をしながら、目的の集落の長のところへ着いた。
長に、こいつを働かせたい、屋敷に紹介してくれないか。
縄文の森の者であることは秘密でお願いした。
長は、屋敷の変化の諜報に役立つと思い、情報を分けてもらうことを約束し連れて行くことを約束してくれた。
屋敷では、兵が言い訳を繰り返し、代官に呆れられ、もう良い、今後は縄文の森には関わるなと宣言していた。
部屋に戻る時、桜を見たが父の情けない姿を見せることに、代官は、沈黙し、執務室に戻っていった。
桜も、こんな父を見たことがない。父は、偉いんだよなと思い直したが、偉い事に力はと疑念ばかりが浮かんでいた。
次の日、集落の長が、青年を連れて屋敷を訪ねた。
青年はカンタだ。集落の服装に着替えていた。
執務室で、カンタを連れた長が挨拶して、この子に仕事を授けていただけないかと頼み込んだ。
代官は、兵達の不甲斐なさに嫌気が指していたので、集落の子供を使うのもありだなと感じ、願いを聞き入れた。
長は丁寧に挨拶して去っていった。
代官は聞いた。
「名前は?」
「カンタです」
ほう、賢そうな子だな、集落にもこんな子がいるのかと感心した。
「お主は、小間使として、屋敷で働け」
カンタは、小間使として屋敷で働けるようになった。
カンタは、直ぐに役立つ小間使として、屋敷で暮らすことになった。
薪割り、水汲み、馬の手入れ、様々な所で役に立った。
カンタは山で育ち、既に狩り仲間にはいっていた。
しかし、夜、皆が寝静まると、密かに縄文の森に行き、山彦に屋敷の情報を伝える。つなげると直ぐに屋敷に戻り、異変は気付かれることはなかった。
山彦は、集落の長の所にいき、礼と情報を渡す日々が続いた。
佐久平の夜も月が出ていると明るい。
浅間山が静かに見つめていた。




