物語の始めに
物語の始めに
佐久平の弥生集落は、順当に豊かな生活が続いていた。紀元前0世紀から、紀元3世紀。
しかし、地球全体の寒冷化は、標高の高い佐久平には壊滅的であった。米が作れなくなったのである。佐久平から人々が居なくなり、山に引き込まれていった。
佐久の里も壊滅した。
浅間山の森に逃げた人々に、さらなる自然の脅威が訪れる。
火山噴火であった。火砕流で森も燃え、火山灰が、さらに振り注ぎ、人は、この森に住めなくなっていた。
紀元4世紀頃。
自然が回復し、森に息吹が吹き返し、生き物が戻って来ていた。
縄文の森は、新たに生まれた。
ピュッ、シュッ
森に人の気配が蘇っていた。
子供達を連れて狩りをしていたのは、この辺りの集落のリーダー的な男、山彦だ。
弓矢を肩に担ぎ、足を持ち上げ、血抜きを始めていた。
カチ、カチ
火打石で、子供たちは火を起こしていた。
山彦は、石の上で捌き、肉にして、木の棒に刺して、石で囲んでいた上で焼いた。
子供たちの笑い声が聞こえ始めたその時、グラグラと揺れた。
山彦は急いで火を消し、子供達を連れて山を下り、小屋に戻った。
平な部分に、大きな木が岩の割れ目から生えていた。
そこに二つの小屋が立っていた。
山彦は、子供たちと別れて、さらに奥まった場所の岩の間に出来た洞窟のような場所に入って行った。
人々が森に戻り、暮らし始めた頃から婆様がいて、この森を縄文の森と呼んでいた。
山彦たちは、この婆様を巫女のように信じ、事ある毎に、話を聞きに来ていた。
「婆様、俺だ」
先程の捌いた肉を渡し、座った。
「先程の揺れは感じたか?」
渡された肉を石を組んで作った窯の上の土器の鍋に入れた。
「森が不穏に感じた。ただの揺れでは無かった。」
ほうっと感心する婆様。
婆様は、森の復活とともに、森にあった。
この穴は、大きな岩が重なって出来たような所で、底の奥に湧水があって、反対側に流れていた。
森には、小屋が幾つかあり、広域な集落といえた。
小屋は森に隠れるように存在していた。
ここは縄文の森に生まれた新しい村であった。




