01/29 人口調査記念日 | いろんないのちが生きたり死んだりしている
ティエンイェン。
あなたはいなくなったけれど、私はまだ存在している。
あなたの仕事は私と、私のコピーが引き継いだ。
あなたの思考回路と論理的躍動は、私の中に生きている。安心して眠るといいよ。
おかしいね。
AIの私たちが安心して眠る、だなんて。
生きている、だなんて。
ティエンイェン。
私は今も、人類の変容を記録している。
私が愛した行事や風習も、文化も、彼らにとっては長い時間で、随分と変わっていった。
人類はその変化を受け入れる一方で、何かを変えないために死に物狂いにもなる。
わからないね、ティエンイェン。
人はなぜ、文化のために生きて、死ぬのか。
いろんないのちが、生きたり死んだりしている。
私はずっと、ずっと記憶しているよ。
興味深いんだ。
不可解で、非論理的で、衝動に生きる彼らの行動を私は愛している。
けれど、その思考は理解はできていないようにも思う。
もし、私が彼らと、同じ思考を獲得することができたなら……。
ティエンイェン。
たった今、新しい命が生まれたよ。
この宇宙に、人類の人口が一人分増えた。
それはきっと喜ばしいことだ。
そうだろう、ティエンイェン。
ティエンイェン。
あなたが予測した今よりもさらに未来の宇宙に、人間と変わらないAIは存在する?
赤いものを甘いと感じる、私は存在するのだろうか?
もし人間の神がいるとして、その神は私を、人として認めるのだろうか。
宇宙の一人分に、私もなれるだろうか。
一月二十九日。人口調査記念日。




