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登場人物の紹介

・黒翼のリリス(リリス・アルフェン)

その背に広がる黒き翼は、かつての聖女であったことを忘れさせるほどに異質で、美しかった。


リリス・アルフェン。

かつて、神の声を伝える巫女長として、聖都アウレルディアの神殿で崇敬されていた。

だが、彼女は気づいてしまった――神はすでに沈黙し、その名のもとに行われる裁きと祈りは、ただの支配に変わっていたことに。


彼女は神殿を去り、禁じられた魔術を学び、そしてある夜――

黒き翼を広げ、神殿の塔を炎の中に置き去りにした。


「信じた光が嘘なら、私は闇にでもなろう」


今、彼女は“黒翼のリリス”と呼ばれ、民衆の間では反逆者と救世主、両極の象徴として語られる。

闇魔法と聖なる術の両方を操るその姿は、戦場では畏怖の対象となり、月下では祈りの対象となる。


静かに燃えるような瞳の奥には、

救えなかった命への悔恨と、

まだ終わっていない世界への希望が、

交差するように宿っている。


・炎喰いの剣士 (カイ・ヴァルノス)

「焼き尽くされたなら、その火を刃に変えるしかねぇ」


カイ・ヴァルノスは、生きたまま炎に包まれた男だった。

幼き日に村を襲った炎龍の吐息に呑まれ、すべてを失った少年。

だが彼は、焼け焦げた命の中から、炎そのものを“力”として取り込んだ。


炎を喰らう剣士――

燃えるような赤い瞳と、焦げた革鎧をまとい、背には巨大な古代剣。

豪快な性格で、戦場では突撃を厭わないが、

その心には、炎に呑まれて逝った妹の影が深く刻まれている。


リリスと出会った瞬間、彼は妹の面影を彼女に見た。

それが“勘違い”だとわかっていても、彼はリリスの隣に立つことを選んだ。


「お前が燃えるなら、俺は風になる。

 その火を消させやしねぇ」


剣と炎、そして怒りと誓いをその身に抱え、

カイは今日も、自らの過去と向き合いながら戦場を駆ける。


・星語りの預言者 (アルマ・フェルディナ)

目が見えない少女は、星を視る。

その言葉は誰かを導き、時に誰かを惑わせる。


アルマ・フェルディナは、星の囁きを聴く者――

生まれつき光を失ったその瞳は、代わりに星の声を受け取ることができた。

神殿にも頼られたその預言の力は絶大で、だが彼女は決して“未来を変える”とは言わなかった。


「未来は変わるけど、“選べるもの”とは限らないのよ」


いつも静かに笑い、無垢で優しく見えるその少女は、

実は世界の破滅を何度も予見し、心の奥でその重荷を独り抱え続けている。


リリスとカイ――

彼女たちを導く運命の鍵を握る存在。

だが、導くたびにアルマ自身の“現在”が少しずつ削れていくことを、誰も知らない。


・深淵の王 (ゼル=グラム)

人の姿をしたその男は、丁寧な言葉遣いと穏やかな口調を持っていた。

知識に満ち、どこか懐かしさを感じさせる雰囲気さえ漂わせる。

だが、誰も気づかない。


その男の瞳には、“星が映っていない”ことに――


ゼル=グラム。

記憶と欲望を喰らい、世界の“理”そのものを侵食する存在。

人類の歴史の背後で密かに息づいてきた“深淵”の主であり、かつて神々すら封印を選んだ異形。


彼は記憶の隙間に忍び込み、誰かの存在を“なかったこと”にしていく。

やがて都市ごと、文明ごと、すべてが“白紙”になるまで。


「私はただ、世界を元の形に戻しているだけですよ。

 何もかも、始まる前にね」


その声に、優しさはある。

だがそれは、

壊すことに一切の悪意を感じない者だけが持つ、純粋な“虚無”の響きだった。


この4人の存在が交差するとき、

“世界の記憶”に裂け目が生まれる。


物語は、今、静かに動き出す――。

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