第三話「PAEとAEO」
俺達は飯岡と柳沢の案内の元、山奥へと入る…するとそこには…大きな切り株しかなかった。
おいおい、道も覚えていないのかよ。
俺が溜め息を吐くと…飯岡と柳沢も同様に溜め息を吐く。
「日本政府からすれば敵な組織が『入口です!』なんて簡単に見つかるところにあればお陀仏なんだよ。」
そう言う柳沢は切り株の横に生えた小さい枝を引く。
すると、切り株の中央にタッチパネルが現れる。そこから飯岡がタッチパネルを素早く押すと…ゴゴゴゴと切り株が四つに別れ、四方に散る…すると、底から近未来な扉が現れた。
最新の技術半端ねぇ…
俺が感心していると六花が俺の手を掴む。
「行こう、渡…」
六花は息を呑む。緊張しているな…
俺は六花の手を握る。
「大丈夫だ、六花…何があってもお前を守る。」
俺達は扉を潜る…
組織の中に入ると…様々な人間…亜人が俺達を警戒し、見つめてくる。
「まぁ、来たばっかはそういうもんだよな。」
柳沢は申し訳なさそうに俺の方を見る。
まぁ、いきなり新規さんが来るんだ…警戒はするよな…
「そういや、名前は聞いていなかったな…名前は?」
「俺は一式渡…こっちはーー」
飯岡の質問に答えようとした…その時だった…二人が突然俺に武器を向ける。
「なんの真似だ?」
俺は手を上げ、二人を睨む。
すると、柳沢が訳を話してくれた。
「実は…お前の家族はな。」
…
その頃、亜人撲滅組織…通称AEOの会議室…
重苦しい雰囲気を醸し出す一人の男性がいた。
「クロウ…結果は本当なんだな…」
クロウ…そう呼ばれる彼女はペストマスクを着けた少女だった。
「はい、あの覚醒を使いこなされたら私でも勝てません。故に早期に叩き潰す必要がございます。」
クロウは淡々と事実を伝える…
「だから、あれ程むやみやたらに亜人化なんてさせたくなかったんだ。上層部のくそったれめ…PAEを潰せないからって…」
「古屋様、あまり上層部の文句は宜しくないかと…」
古屋敦…AEOの幹部。眼帯を着けた筋骨隆々の男…髪は白くなりかけており、初老入りたてくらいな見た目だ。
「古屋様、私は引き続き、特殊個体『Χ(カイ)』の調査を続け、狩れそうなら狩ります。では、私はこれで…」
そう言い、クロウが下がろうとした…その時だった。
「古屋様、すみません。兄の引き付けに失敗しました。」
一人の少女が中に入ってくる…
クロウは警戒を最大限にまで上げた…理由は背後を取られたことに気付かなかったから…
「来たか…Φ(ファイ)…いや、一式若葉…」
そう、亜人撲滅組織の幹部のところまで来たのは一式若葉…一式渡の妹だ。