5 これがステータス?
慌てて出入り口に向かい中に入ると、痛い位に心臓がバクバクしているのが分かった。
なにアレ、何アレ、なにあれ~!?
どでかい鳥かと思ったら……間違い無くプテラノドンだよね!?
恐竜だよ? 実物は見た事ないけどさ~。
白亜紀だかにしかいなかったんじゃないの?
囲いの木にもたれたまま、ズルズルとそのまま地べたに座り込んでしまった。
「まさかとは思うんだけどね?」
誰も居ないのに、大きな独り言を言っている事に気が付かない位、私は動揺している。
「これって、異世界転移ってやつじゃ無いよね?」
人間不信気味の私は友人が少ない。
信用するまでに時間を掛け過ぎてしまい、呆れて去っていく人や「人を信じるって大切な事だよ」と、私を諭そうとする人も居た。
けれども、トラウマともいえる出来事が私を疑心暗鬼にさせているのだ。
それでも数人、時間が掛かったが信頼できる人も居たわけで。
その中の一人が進めてくれた本があったのだが、それがいわゆる『異世界モノ』と呼ばれる種類の読み物だった。
どちらかと言えばインドア派だった私は、もともと読書は好きな方であった。
恋愛から推理、はたまた歴史まで幅広く読んでいたのだが『異世界モノ』はとても新鮮だった。
そんな訳で、少しだが知識があった為にこれが現実ならばもしかして……と、心の片隅で感じてはいたのだ。
『知らないうちに此処に連れてこられたんだ』と、思いたかったのだが……。
それも無理があるよね。
それでも全く訳が分からない。
事故に遭ってもいないし、召喚もされていない。
ましてや神様にだって会って……、いや待てよ?
もし、あの綺麗な男性が神様だとしたら?
……。
いやいや~、もしそうなら少し残念すぎるでしょう?
「取りあえず、これが異世界転移だとしよう。それならば最初にやる事はアレな訳だよ……」
独り言を言っているのをやっと自覚して、少し恥ずかしくなったが、硬く目を閉じると意を決して言葉を続ける。
「ステータスオープン!!」
ゆっくり目を開けると、そこには薄水色の透き通った画面が有った。
「!?」
驚きのあまり、一瞬言葉を失ったんだけど。
ざっと目を通してもっと驚く羽目になる。
【 名前 】 カエデ
【 種族 】 ???
【 性別 】 女
【 年齢 】 22歳
【 職業 】 なし
【 魔力量 】 なし
【 魔法属性 】 なし
【 スキル 】 言語理解 神眼? 想像具現化? 付与?
ナビゲーションシステム(構築中)
【 加護 】 アストリアに落ちた異世界人 神の謝罪
……どういう事?
叫ばなかった私を褒めてほしい。
だって、このステータスなんかおかしくない?
色々突っ込み処が満載過ぎて、こめかみの辺りがピクピクしちゃってるんだけど。
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