35 ホームシックかな?
さすがにリンゴの木の葉っぱを毟るのも気が引けてきたので、たくさんある野菜達で種を想像具現化することにした。
今のところ、ジャガイモの量が多いので、それでいこうと思う。
なんだかんだで50弱の芋をそれぞれの種に変え、畑に植えると、大豆を植えるための範囲を確認。
……これは結構な数に成るんじゃないのかな?
畑の半分くらいが大豆になっちゃうよ。
八重子さんはこんなに大豆を創らせて、いったいどうするつもりなんだろうか?
そう思いながらも、言われた事はしっかりやらねば後が怖い。
枝豆を想像具現化して種に変えると、こちらもさっさと植える事にした。
そうこうしているうちに。
ぐるるるるっ。
盛大にお腹が鳴ったら、八重子さんに笑われてしまった。
『もうすぐお昼になるよ。アンタの腹時計は正確過ぎて、時計はいらないよね』
褒めてるのかどうか分からない言葉を聞きながら、家に戻って来たのだが。
「ご飯の前に、鏡の設置とIHモドキを設置しないと、テーブルが使えないよ……」
テーブルの上に置きっぱなしになっている物を見て、ガックリと肩を落とす私。
お片付けはきちんとやらないと、結局自分が困る羽目になるんだよね。
ぐるぐると響くお腹の虫にせっつかれながら、鏡を予定の場所に設置。
IHモドキは、設置台を調理も横で出来るように大きめに創り、流し台の左手に配置した。
台の下部分に棚と引き出しも創ったので、調理器具や鍋も収納出来る。
これで少しはキッチンらしくなったかな?
だがしかし、……換気扇が必要だよね。
これも後から想像具現化さんに頑張ってもらうとうするか。
木と鉄でなんとかなるだろう。
朝のうちに茹でたトウモロコシの残りを堪能していたら。
あれっ? と、なった。
野菜炒めとかも食べたいから、キャベツとか人参も創った方が良いよね。
そうなると油も必要じゃない?
……。
確かに想像具現化なんていうチートなスキルを貰ったけどさ、結局は何でも創らないといけないわけで。
それって、どうなの?
なんでも手に入った日本の生活が懐かしいよ……。
ため息を付いてノートを取り出し、TO DOリストを作成する事にした。
でも、愚痴の一つも言っていいよね。
「ねえ、八重子さん。便利な生活が懐かしいよ」
『……現代っ子のカエデなら、そう思っても仕方がない事だろうね。でも、初めだけさ、大変なのは。創ってしまえば後は楽になるよ。がんばりな』
簡単に言ってくれるよね。
八重子さんに文句をいても仕方がないって事は分かってるんだけどさ、やるのは私な訳よ。
言うのは簡単、やるのは大変って事。
何となくヤサグレながら昼食を終わらせ、リスト作成を行う。
この後、換気扇を創って、キャベツと人参を植えよう。
油って、何から作ろうかな?
オリーブでも植えるか?
そうなると、他の果物も食べたいよね。
さくらんぼとか、みかんとか?
……でもやっぱり、ご飯が食べたいんだよね〜。
そう考えると、なんか日本が恋しくなっちゃう私だった。
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