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32 増やすの?

ストックが無くなりました。

次話からは月・水・金、1話ずつで、16時過ぎの投稿になります。

申し訳有りませんが、ご了承願います。

よろしければブックマークをして頂けると有り難いです。

 うん、何とかなるもんだ

 目の前には鉄と硝子、そして虹色小魔石を2つ使って創ったIHクッキングヒーターモドキが鎮座しています。

 黒光りしている縦60×横45、厚さ10センチの板状。

 日本で見たことがある形を再現してみたんだけど、魔石の関係か、なぜか厚さが出ちゃったのはしょうがないよね。


 面には輪が2つ書いてあって、魔石がそれぞれはめ込まれている。

 この魔石自体が熱を出すのだろう。

 少し赤っぽい虹色なのは火の属性だからかな。

 火力も大中小と切り替えが出来る優れもの。


 さっそく調理を!! と息巻いたが、鍋やフライパンが無いことに気が付いた(ガックリ)。


 いそいそと小鍋と大鍋、菜箸やコップ等など、思いつくままに創っていたら、またもや呆れたような八重子さんの声が聞こえてきた。


「カエデ、アンタお腹がすかないのかい? もう19時を過ぎたよ?」


 え? 

 もうそんな時間?


 慌てて窓から外を覗くと、真っ暗な暗闇。

 そして急にお腹がぐう〜っと大きく鳴った。


 しょうがないから、今夜もトマトとリンゴを食べて我慢だ。

 でも一言くらいなら言ってもいいよね?


「八重子さん、なんでもっと早く教えてくれないの?」


『何度も声をかけたさ。夢中になって聞いてなかったのはカエデだろう? あんたは昔から〜……』


 失敗した〜。 

 やぶ蛇状態になってしまったよ。


 八重子さんのお小言が続く中、リンゴを何とか噛み砕いて飲み込んだ私。

 こんなに美味しいリンゴなのに、まったく味が感じられない。

 なんだか涙が出ちゃいそう……。


 その日の夜は、さっさとふて寝を決め込んだのだった(クスン)。





「八重子さん、おはよう!!」


 ぐっすり寝たためか、元気に目が覚めた。

 今日こそは火が通った物を食べるぞと息巻いていたんだけど……。

 よ〜く考えたら、枝豆かトウモロコシ、またはジャガイモを茹でるくらいしか出来ない現実がそこにあった(ガックリ)。


 それでも、火を通した物には変わりなし!!

 生では無いだけ有り難いと思わなければ。


 とりあえず大好きなトウモロコシをぶつ切りにして、塩ゆでじゃ〜!!

 巨峰くらいの大きさの粒だが、甘みがすんごいよ。

 さすがに1本50cmはあるので食べきれないが、半分ほどを一気にお腹に収めてしまった。

 残りはお昼にでも食べよう。


「ねえ八重子さん? 他にも野菜を創って良いかな? もっとバリエーションが有ったほうが良いと思うんだよね」


『ジャガイモを収穫したあとが空いてるけど、どうせなら薬味とか香味野菜になる物も創ったら良いんじゃないかい?』


「おぉ〜、さすが八重子さん。そうだね、ネギとか南蛮? あと生姜も欲しいし、胡椒とかも出来るかな〜?」


 あれも良いこれも良いと思いを馳せる私に、ボソリと八重子さんが呟いた。


『しれじゃあ、もっと畑を増やさないとね』


 その言葉は、まさに雷に打たれたかの様な衝撃を私に与えたのは言うまでもない……。


 身体は若返ったかも知れないけど、実年齢は三十路過ぎなのよ。

 体力も無ければ、持久力も無い。


 た〜す〜け〜て〜……。


 そう、心の中で叫ぶ私であった。

お読み頂き有難うございます。ブックマーク・評価の方よろしくお願いします。



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