29 創ってみるよ?
池が完成し、ほっと一息。
何気に世界樹に目を向けて、私は驚いた。
世界樹がブルブル震え、何やら蠢いていたからだ。
程なくして震えが止まると、全体を虹色発光をさせて葉をひらひらと落とした。
「ええっ!? なにか不味かったのかな? 葉が落ちちゃたよ!?」
『池に根を伸ばしたんだよ。喜んでお礼に葉をくれたのさ』
お礼ですと?
全部で10枚の葉を拾い、一応世界樹にお礼を言った。
「世界樹さん。ありがとうございます?」
するとサワサワと葉を揺らす世界樹さん。
!?!?
言葉が通じるんですかね?
『その葉は貴重だよ? 最低でも1枚金貨300枚にはなるね』
お金の価値は分かんないけど、多分凄いんだろうって事だけは理解した。
……どうでも良いけど、いや良くは無いな。
ねえ神様? あっちのわたしの財産はどうなってしまうのですか?
両親が残してくれた遺産と私の貯金、それと八重子さんの家。
どちらもあの叔父や伯母達に取られるのは、すっごく嫌なんですけど!?
空を見上げると、大きな太陽が真上に来ている。
そろそろお腹が空いてきたな。
風は無いが、程よい気温で気持ちがいい。
そういえば、あっちは冬の初めで寒かったけど、アストリアは今何月なんだろう?
「ねえ八重子さん? アストリアは今何月なの? この感じだと春くらい?」
『そうさ、3月に入ったばかりだよ』
アストリアは地球と変わらず12ヶ月で1年だが、1ヶ月は全て30日で、一年は360日だという。
時間軸が違うのか?
なぜか12月の日本から3月のアストリアに来てしまったが、寒いのが苦手な私としては有り難い限りである。
お昼はトマトを丸まる1個食べ、塩が欲しいと強く思った私。
しかし先にやらなければならない事が有る。
それはお風呂だ!!
日本に居た時はそこまでお風呂大好き人間では無かった。
一応、なるべくは毎日入っていたけど、別にシャワーだけでも構わない派だ。
だがしかし、入れないとなると話は変わるのである。
髪がこんなにベタベタしたりするのが耐えられない!!
そういう事で、食後一発目の作業はお風呂創りだ。
しかし、これには少し問題が有った。
土台に成る小屋が無いので、そこから用意が必要だからだ。
家の裏手に回り、アイテム鞄から切ってきた丸太をドンドンドンと3本分地べたに出す。
外側は家と同じ簡素な外装で良いけど、どんなお風呂が良いだろうか?
ホースの元になる材料が無いから、シャワーは創れないよね。
それは今後の課題としよう。
本当はユニットバスみたいなのが好きだけど、風流な木のお風呂にするしか無いだろうな。
だったら檜がいいよね?
どうせなら足を伸ばせるサイズにしようっと。
まずは簡素な小屋を想像具現化。
構想としては、トイレのドアの左隣にドアがあり、脱衣場の奥がお風呂場だ。
床はすのこ状で、ゆったり入れるサイズの檜風呂。
温泉みたいに吐出口からお湯が出るようにして、排水はトイレと同じ創りで良いだろう。
窓は天井近くの高窓で横に細長く。
灯りは壁に付けて、入り口でオン・オフ出来るようにしたいよね。
洗い桶と椅子も付けて……。
うん、こんな感じで良さそう。
余分に創っておいた硝子の塊と魔石も用意して、一気に想像具現化しちゃいましょう!!
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