28 そんな事あるの?
「なんか髪もベタベタして気持ち悪い〜!!」
朝も早からジョウロ片手に叫ぶ私。
とうとう異世界生活3日目に突入です。
お風呂が無いから、濡れタオルで体を拭いて寝たんだけど、せめて頭を洗いたかった。
お湯が出るように水道の改良も今日中にやろうと心にメモしておく。
しかし、昨日収穫したはずなのに、またしても食べ頃のリンゴとお野菜達が目の前に鎮座していますよ。
八重子さん曰く、神水を掛けると成長が早いらしいのだが、一人では食べ切れないのよね。
まあ、冷蔵庫代わりのアイテムボックスに入れて置けば良いし、食べる物に困らないってのは有り難いんだけど……。
生野菜とリンゴだけってのはさすがにつらい。
「今日はお風呂と、調理器具の制作をしたいと思います!!」
『急に大声を出してどうしたんだい?』
「いや、タスク確認です」
意気込んでいる私は、野菜やリンゴの収穫を終わらせると、世界樹に向かう。
「ん?」
私の目の高さにまで成長している世界樹だけど、なんか昨日と違う気がする。
薄っすらと虹色に発光する葉がへにょりとしているし、気のせいか斜めに傾いている?
『ああ、水が足りなくてへそを曲げてるね』
驚いて目を見開く私。
「え? 昨日もたっぷり水をあげたよ?」
『それじゃあ足りないんじゃないかい?』
なるほど。
しかし、へそを曲げるとは……さすが世界樹と言うべきか?
「こまめに水やりしなくちゃダメって事?」
「……隣に小さな池を創ってやれば良いんじゃないかい? そうしたら水やりの手間も減るしね」
池???
……それって穴掘りしなきゃいけないんじゃなかろうか?
さすが八重子さんは私の心を読んだようで。
『穴掘りを頑張りな!! アンタが創った世界樹だろうう? 最後まで責任を持つんだよ!!』
いやいやいや、犬猫を拾ってきた時みたいな事言わないでよ。
そうは思ったが、反論しても良い事はない。
3倍くらいになって返って来るのが落ちだろうな。
気は重いが、シャベルをもう一つ想像具現化。
昨日創ったシャベルはジャガイモを傷付けないようにって事で、魔石を使わなかったから掘るのがとても大変だった。
今回は穴だけだから、クズ魔石を虹色に変えて、サクサク掘れるようにしよう。
出来上がったシャベルを片手に、ザックザックと掘っていくんだけど……。
この土どうしよう?
そこである事を思いついた私。
冴えてるよね〜!? この土を使ってアレが創れそうだ。
ホクホクしながらアイテム鞄に収納しておく。
出来上がった穴は世界樹の真横。
すり鉢状で大きさは2×3m、深さ2mの結構大きなものになった。
崩れたら困るよね。
どうしようかな?
「ねえ八重子さん。池の周りを崩れないようにする方法が思い付かないんだよね」
『固めるのが一番だけど、それじゃあ世界樹が根を伸ばしずらいね。いっそのこと水草でも生やせば良いんじゃないのかい?』
そういう方法も有るのか。
それじゃあ、またリンゴの葉っぱを貰ってこなくちゃ。
急いでリンゴの木から葉っぱを30枚程頂いたんだけど、やっぱり葉っぱがすぐ元に戻っている(遠い目)。
不思議だが、そういうものだと自分を納得させた。
水草の種類ってのが分からないと言うと、八重子さんがサポートすればこの世界のものなら創れると教えてくれたので、サクッと種にして池の中に均等にバラ撒いた。
続いて虹色中魔石を創って枝と組み合わせ、杭状に想像具現化。
常に水の量を池の縁マイナス5cmに成るように設定し、池の中の手の届く所に刺しておいた。。
魔石からどんどん神水が溢れ、ものの5分ほどで池の中が満たされてしまう。
覗いてみると、ニョキニョキと水草が伸び、珊瑚みたいに色とりどりの葉を生やしてなんだかキレイ。
まるで虹色の池のようだなと、しばし見惚れる私だった。
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