27 イメージは大事?
「八重子さ〜ん、た〜すけて〜!?」
どこぞの青狸を呼ぶ少年のような雄叫びを上げた私。
『……』
無言の八重子さんは、身体があったら間違いなく白い目を私に向けているだろうと思われる。
だけど、仕方ないじゃないか? 無いものだらけなのだから……。
それに、電気器具の仕組みなんてわからんよ?
豆電球と電池の実験くらいしか思い出せないって。
私の心を読んだかの如く、八重子さんのお小言が始まった。
『アンタは昔から思い付きで行動する事が多すぎるんだよ!! 今回だって、急いで創らなくても良いもんばっかり創くってただろ? 灯りもそうだけどね、言っておくよ? 今日もお風呂には入れないからね!?』
そうだった〜!?
またお風呂に入れないんだ……。
『濡れタオルで拭くしか無いね』
ガックリと肩を落とす私。
冷めた八重子さんの言葉が胸にしみるよ。
『それよりも、灯りをどうするかだね』
それは分かってるんだけど。
私にはそれ系の知識が全くないんですけど?
口を尖らせて不貞腐れていると、八重子さんはこの世界の灯りについて説明してくれた。
基本は油を使ったランタンみたいな物を使っているという。
都会や、裕福な家では魔導具なる物があるそうで、魔石を燃料にした照明器具だという。
明るくなるように光が付与されたものらしいが、さすがに八重子さんでも構造は分からないとの事だ。
魔石に、付与ですと?
それなら私にも創れやしませんかね?
そう思ったが、少し甘いかも知れない。
なぜなら、私には属性魔法という物が一切使えないからだ。
水道だって、もとから水魔法が付与された空魔石に神力を注いだだけだし、囲いの結界だってもとから付いていた魔石だった。
「どうしたらいいんだろう? 私、属性の付与なんて出来ないよね……」
しかし、落ち込む私に八重子さんは容赦ないのである。
『カエデ? アンタ、そこまで馬鹿だったのかい?』
「いや、馬鹿だけどさ〜。そんなハッキリ言わなくても良いんじゃない?」
『……今日、家に結界の付与してただろう? トイレだって水が出るように創ってたし』
そこまで言われて、やっと気が付いた。
あれ? そう言えば、自分で創った魔石に結界を付与したよね? トイレも水が……。
もしかして私の付与って、属性とかの理なんか関係が無いって事?
思うように属性が付与出来ちゃうんなんて、凄くない?
そこでふと思い出した。
ファンタジー小説で、光る石ってのが有ったよね。
洞窟とかに有る、天然の光る石って説明されてた気がする。
だったら魔石を電池代わりにして、普通の石を光らせるってのはどうだろう?
いや、それこそ魔石そのものを光らせれば良いんじゃ無い?
……。
うん、出来そうな気がする。
そうと決まればすぐにやってみよう。
これは小魔石でやった方がいいかも。
サクッと小魔石を創ってから、魔石自体が光るようにイメージする。
タッチ式でオン・オフ切り替えが出来るようにしよう。
「想像具現化」した瞬間。
「ぎゃっ!? ま、眩しい!?」
部屋の中が真っ白に成るくらいのまばゆい光。
慌てていて魔石をタッチして光るのを止めた。
まだ目の前がチカチカしている……。
『アンタ、どんなイメージを付与したんだい?』
ため息混じりで八重子さんが囁いた。
まさか、こんなに眩しいく光るなんて思って無くて、凄く焦ってしまったよ。
「コレどうしよう?」
そう思ったが、何となく重ね掛けが出来るような気がする。
もう一度魔石を握りしめ、今度は柔らかな光が部屋を優しく照らすイメージをしっかり持つ。
出来上がった物は先程と代わり映えしない見た目。
今度は薄ら目を開けて、指でちょんと付いてみた。
こんな小さな魔石が、部屋を柔らかく照らしている!?。
良かった〜。
今度はちゃんと出来たよ。
木を使って想像具現化でランプ風にしてみた。
うん、見た目も良いね。
安心してほっと胸を撫で下ろす私だった。
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