26 整いました?
何とか頑張ってリンゴを収穫。
赤リンゴ23個、青リンゴ25個。
リンゴはもちろんの事、収穫後のトマトやとうもろこし、枝豆なんかも、茎が枯れるまで実が取れるそうなので、最後の力を振り絞って、全てに水やりを行った。
言うまでもなく神水を掛けた瞬間、淡く虹色に輝いたのはお約束なのだろう。
水道(あえてそう呼んでいる)から神水を出して、手のひらで受け止めて飲む。
相変わらず嘘のように腰痛と疲れが飛んでいくのは、ホントに凄い。
そして、家の中に水道が有るって地味に有り難い。
やっぱりコップや食器が無いのは困るけどね。
今日中に創れるのだろうか?
……やる事が多すぎて、日本が懐かしくなる(遠い目)。
しかし、八重子さんは待ってくれない。
『何を創るにしても、材料が必要だろう? ここで使えるのは裏の森で取ってくる木と、囲いの周りに落ちているクズ魔石のみだけど、多めに用意しておいた方がいいんじゃないかい?』
確かにそうなんだけど、鞄を新しく創らないと何も入れられないみたいなんだよね。
よし、用途に合わせたアイテムボックスを創っちゃえ。
クズ魔石は何とか足りそう。
布も反物の残りが大分残ってるし。
サクッとやってしまいますか。
魔石を中魔石にした事で、出来ちゃいました時間停止のアイテムボックス。
布製で、よくカラーボックスとかに使う箱型をイメージしてみた。
容量はさすがに抑えられてしまったけど、10畳は有るね。
それを3つ創ったら八重子さんに怒られてしまった……。
『そんなに創って何に使うんだい!?』
「野菜果物専用。あと、今は無いけど肉や魚? それと、その他の食材だけど」
色は室内に合わせて焦げ茶にしてみた。
これを入れるボックス棚は絶対創らなくちゃね。
それと、時間関係を一切付けていない無制限に入る鞄を2つ。
形はウエストポーチ型とリュック型。
どちらも材料や道具を入れるための物で、色は黒。
ウエストポーチの方は、時間遅滞の薄茶の鞄と一緒に普段使いにするつもりだ。
もう一つは入り口の横にでもかけておいて、物置代わりでどうだろう。
必要な時は背負う事も出来るしね。
八重子さんは呆れたのか、それとも納得したのか、ため息を一つ付いて無言になった。
まあ、いい。
後悔は無い……。
私の好みを全面に出した薄桃色のカーテンも想像具現化したから、忘れずカーテンレールを創らないとね。
森に行く前にクズ魔石を拾う。
どんだけスライムが居たんだ?ってくらいに拾う事が出来たよ。
コレなら当分困ることは無いだろう。
森では鉈を急いで創ってみた。
手折りでは細い枝しか採取出来ないからだ。
アイテム鞄も有るし、どうせならたくさん取っておく方が良いしね。
鍬やシャベルもそうだけど、木製とは言え虹色魔石のお陰で何とか使えている訳で、そのうち鉄製の物を創る方向で考えた方が良いような気がする。
そんな事を八重子さんと話ながら、電柱よりも太い枯れ木を5本ほど手頃な丸太状に小さく切って、アイテム鞄に収納して来た。
鉈であんな太い木が切れる事が不思議だが、そこは深く考えてはいけない。
家に戻ると早速カーテンレールと吊るす金具を木で創る。
薄桃色の生地のお陰で、とても明るく感じる。
流し台の左側に、カラーボックスのように三段棚を創り、アイテムボックスを入れてみた。
今日収穫した野菜や果物は下の段に収納。
入り口の横に床から天井までのポールを1本創り、物を引っ掛けられる突起をたくさん付けた。
これでアイテムリュックを掛けて置ける。
上着とかも掛けられるから重宝するだろう。
少し日が落ちてきた所で、室内をぐるりと見回し、家らしく整った事に少し感動していたら、八重子さが困ったように言った。
『カエデ? アンタ、やっぱり忘れてるんじゃないのかい?』
……そうだった。
もう少ししたら暗くなり始めるよね。
灯りをどうしよう……?
お読み頂き、ありがとうございます。
少しでも面白かったと思って頂けたなら、次作への励みになりますのでブックマーク・評価・いいねを宜しく願いします。
そして、ブックマーク・評価・いいねを下さった皆様、本当にありがとうございます。
今後も頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。




