25 容赦ないよね?
簡素な感じは否めないが、前の見た目よりも断然良い家になった。
室内も木目がキレイな壁。
フローリングがこげ茶でかっこいい。
流し台はキャンプ場に有るような下がむき出しの形だが、家の中に有るってだけで有り難い。
ちなみに、排水はトイレのアイテムボックス無制限をと同じ物をサクッと創っている。
上手く行って良かった。
しかし、靴を履いたままで入らなければいけないのだけは頂けない。
もし次に家を創り変える時は玄関を作ろうと心に誓う。
ボロボロのテーブルと椅子、そしてホコリが乗った棚もサクッと想像具現化して、四人がけのテーブルセットと小ぶりな引き出し付きの硝子棚が出来上がりだ。
何時か分かんないけど、さすがにお腹が空いてきたので。
「八重子さん、お腹すいた〜」
『アンタの腹時計は正確だね〜。今11時50分になったところだよ。この後、野菜の収穫もしないとね?』
「八重子さん時間が分かるんだ? それなら困らなくていいね。先に昼ごはんを済ませちゃうよ」
朝のリンゴが半分残っていたので、それを美味しく頂いた。
やっぱり果汁たっぷりで美味しかった。
「も、もう無理っっ!?」
今、私は地面に這いつくばって泣き言を言っています。
トマトは真っ赤に染まって艶々。
大きさなんか20センチは優に超えているね。
そしてずっしり重いよ。
そんな大玉が全部で50個以上出来ていた。
大好きなとうもろこしなんて、5つしか植えていないんだから普通は5本って思うよね?
私は甘かった。
とうもろこしの鈴生り状態さ。
1本の茎に、最低でも10本は実が付いてるってどうなの?
しかも、大きさが50cm以上有るね。
皮を剥いて分かったんだけど、1粒の大きさも巨峰の粒くらい大きいんだ。
更に枝豆。
大豆にするから、そのまま置いて置かなければならないんだけど、1本は収穫する事にした。
さやの大きさは太めのソーセージくらいあるから、粒も大きそうだ……。
そして、ワッサワサと付いていて数え切れない。
そこまでは何とか頑張ったんだけど、問題はジャガイモだった。
木の鍬は芋まで耕しそうだったから、魔石を使わずにシャベルを創ったんだけど……。
結論から言うと、大きさは普通だった。
どんなに大きくても私の拳より少し大きいくらい。
でも、数が半端無かったんだよ〜。
掘れども掘れども、出てくる出てくる。
気が付けば芋掘り始めで3時間。
やっと終わった時には、とんでもない大きさの山になっていた。
もう、私の腰が言う事を聞きません。
『カエデは本当に生っちょろいね〜』
突っ伏してる私に容赦ない八重子さんの声。
「だって、こんなに有るなんて……。一人でやったんだよ? 褒めてくれてもいいでしょ?」
『アンタはすぐ付け上がるからねぇ、まだ褒めてはやれないよ。さっさとアイテム鞄にしまった方がいいんじゃないかい? 暗くなる前にアレを用意しないと』
そうだった。
昼に八重子さんと相談したんだった。
他に必要な物はなんだろうって。
そこで出たのがとりあえず2つ。
灯りとお風呂である。
まずは鞄に収穫した物を収納。
この鞄は四畳半くらいの大きさしか無いから、半分くらい埋まってしまったかも。
他にも何個か鞄を創らないとダメだね。
ヨロヨロと起き上がって、何とか家に向かう私に、またしても八重子さんの声がかかる。
『カエデ? リンゴの収穫がまだだよ?』
八重こさ〜ん!? 少しだけでいいから休ませてよ〜!!
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