20 コレはリンゴ?
薄暗い中、ぼんやりと意識が戻って来た。
まだこんなに暗いんだから、起きるには早すぎだ。
私は布団のふわふわが気持ち良くって、もう一度意識を飛ばしそうになった……のだが。
薄っすらと目を開けて見ると、見慣れない小屋の中が視界に入る。
窓が木板で塞がれてるから日が入らなくて暗いのか。
しかし、隙間から薄っすら明かりが差しているのが見える。
そうだ、夢じゃなかったんだ……。
「八重子さん? おはよう」
ムクッと身体を起こし、八重子さんに呼びかけたんだけど、なぜか返事が返ってこない。
嘘……。
なんで八重子さんの返事が無いの?
まさか居なくなっちゃった!?
急に不安になって、大声を上げてしまう。
「八重子さん? ねえ、八重子さんってば!?」
『なんだい、朝っぱらから煩い子だねぇ。大声を出さなくても聞こえてるよ』
「ああ良かった〜、居なくなったかと思った……。返事くらいしてよ」
ぎゅるるるるる〜っ。
一言文句でもと思っていたら、特大の音がお腹から聞こえてきた。
うう〜っ、お腹が減ったよっ。
『……やっと身体が馴染んだようだね。さっさと着替えて顔を洗って来な。今日もやる事がたくさん有るんだからね』
なぜか叱り付けられながら、いそいそと身支度を整える羽目になってしまった。
小屋の窓木を押し上げて開けると、新鮮な空気が入って来る。
うん、今日もいい天気だ、気持ちがいい。
コレ、出来れば窓ガラスとかに出来ないだろうか?。
まあ良い、後で考えよう。
昨日創った薄桃色のツナギに着替えると、気分が上がってくる。
好きな色とか、新しい物って嬉しくなるよね。
でも、お腹が減った事は誤魔化せないんだけど。
戸を開けて左手には世界樹が有るが、今の私は非常にお腹が減っている。
だからリンゴの木の方が気になる訳で。
熟して無くても食べたいくらいだ。
急いで右手に身体を向けると、目に飛び込んできたリンゴの木。
昨日より成長してない? 私の背を完全に追い越してますけど。
そして、何と言っても。
「もう実がなってる!?」
艷やかな赤や青のリンゴがたわわに実っていた。
ちょっと待って、赤や青?
まだ色づいて無いだけじゃ……、いや、コレは間違いなく種類の違うリンゴだね。
なぜに同じ木に赤リンゴと青リンゴが実ってるんだ?
まさか、昨日迷ったのが原因だろうか?
しかも実の大きさが見たこと無いくらい大きいんだけど。
唖然として見ていると、案の定八重子さんの押し殺した声が聞こえてきた。
『カエデ? どうして一本に二種類の実がなってるんだろうね?』
「どうしてと聞かれても……」
『正直に言いな!!』
「はいっ!? 想像具現化する時にどっちが良いか迷ったからです!! ……でもね、混ざって黄色になるかな〜とは思ったんだけど、両方なるとは予想外でした!!」
『アンタ、これ以上人に見せられない物を創らないでおくれよ』
八重子さんのつぶやきを苦笑いで聞き流し、赤リンゴに手をのばす。
大きい。
20〜25cmくらい?
昔食べたザボンくらいの大きさが有るよね。
ずっしりとした重さで片手では少し大変だったけど、何とかもぎ取る事に成功。
さあ困った。
コレ、どうやって食べようか。
かぶり付くには大きすぎるんだよね。
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