18 為せば成る?
「おお〜っ!? 毛布に関してはちょっと心配だったけど、出来ちゃうもんだね〜」
古びた小屋の一角には似つかわしくない、新品のベッドと寝具。
ばふっと布団にダイブして寝心地を確かめると、ふわふわで良い感じだ。
しかし布団綿も入ってるとは、やるね〜想像具現化さん。
生成り色の生地から、カラフルな色合いに早変わりだ。
ムフフと喜ぶ私に、やっぱり容赦ない八重子さんの声。
『カエデ、さっさと用意しないと暗くなっちまうだろう?』
その言葉にガバっと身体を起こすと、背筋を伸ばす。
「はいっ!? 今やります!!」
そうだった、まだまだ創る物が有ったんだ。
『あんたは昔からすぐそうやって脱線しちまうんだ。いい歳になっても変わっていないのかい? 私が居なくなった後、どうやって生活してたんだろうね〜。ホントにあんたって子は……』
八重子さんの小言をBGMにしながら、何とか仕上げましたよ。
体力なんてたいして使ってないのに、なんだろうね、疲労感が半端ない。
いかに八重子さんの言葉が私の心をえぐったかって事だろう。
とりあえず、この世界の服装が分からないから、動きやすさを重視した服を作成。
出来上がったのは薄桃色のツナギである。
農作業といえば、コレ一択でしょう?
ファスナーは無理だったので、枝で布に包まれた大きめの丸ボタンを創ってしてみた。
そして、何気に私は薄桃色が大好きだ。
パンツは問題なかったんだけど、ブラに関しては少し悩んでスポーツタイプをチョイス。
悲しいかな、胸の大きさがささやかだって事が功を奏した? ので今はコレで十分だ。
Tシャツと靴下なども合わせて、それぞれ数着用意してから、自分の足元を見る。
泥に塗れたルームシューズ。
靴を創った方が良さそう。
もこもこの生地と、厚みのある硬めのスポンジ?
これってゴムみたいなものだよね。
でも、コレって1つしか無いから……。
「八重子さん、靴に虹色魔石を使っていいかな? 劣化防止とか自動修復とかの付与を付けてみたいんだよね」
『……魔石に込める神力を少し抑えて注入してみたら良いんじゃないかい?』
「抑える?」
『そうさ、抑えるんだよ。今まで目一杯込めてただろ?』
そう言われて、思い返してみると、確かにもうこれ以上入らないって所で止めているよね。
「それで何かが変わるの?」
『変わるだろうね。100馬力と1馬力では雲泥の差が有るし?』
なるほど、神力も放出される力に差が出るということか。
「やってみるよ」
木皿に入れて置いた空魔石を1つ手に取る。
ちなみにコレはスライムの魔石だそうだ。
この周りで大量発生した物が死滅して、魔石が残ったのだろうと教えてくれた。
探せばまだまだ落ちてるらしい。
ゆっくりと、コップ10分の1位をイメージして神力を入れていく。
このくらいかな? って所で魔石を見てみると、薄っすら虹色魔石になっていた。
やれば出来るじゃん?
『それなら大変な事には成らないんじゃないかい?』
八重子さん? 大変な事って。
はい……世界樹の事が有るから反論はしませんけどね。
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