17 出来ちゃうよ?
テーブルに積まれた私の脱いだ衣類を前に「これをどうするの?」と八重子さんに問うた所。
『どうしたら良いと思うんだい?』
と返された。
自分でも少しは考えろって事ね。
あまり頼りすぎてしまうのもよろしく無いらしい。
それじゃあ、どうしようか?
思ったよりたくさん着ているけれど、これだっていつかはボロボロになっちゃうよね。
っていうか、洗い替えが無いじゃない?
最悪、スウエットとインナーを何とか着回ししても、ブラもパンツも無いんじゃ、お終いだ。
これを反物に変えられれば、たくさん衣類を想像具現化出来るんじゃ……。
「ねえ、八重子さん。これ反物にしてみるよ」
『ほお? 出来るのかい?』
「うん、出来る……はず?」
出来るという思いは有るんだけど、自信があるかと言われると、なんとも言えないんだよね。
やってみなくちゃ分かんない。
『……とりあえず、一枚だけやってみな』
と、いうことで。
もしもを考えて、一番支障が無いであろう腹巻きを引っ掴む。
イメージは厚手で、柔らかさと肌触りが良い、手芸店なんかに置いてある大きな巻の反物。
「想像具現化」
手元が虹色に輝くと、一気にずっしりとした重さが両手にかかってきた。
「おおっ、出来たよ〜」
生成り色の生地で、思ったように厚みも有り、柔らかくて肌触りが良い。
「しかし、あの薄桃色の腹巻きとコレじゃあ、物質量に差が……」
そこまで言葉にした瞬間、八重子さんが止めに入った。
『お止め。所詮は神業なんだよ? 考えすぎると今後の想像具現化に影響が出ちまうだろうが。出来るものは出来るで良いんだよ』
確かにそうかも?
私の概念というか、思い込み? が疑問に思うことで揺らいでしまうと影響が出ちゃうよね。
だから、もう疑問に思うことは止めよう。
「それじゃあ、まずは服を……。反物、裁断するハサミが無いんだけど……どうしよう?」
『はあっ……』
なんでため息を付くんですかね、八重子さん。
八重子さんに呆れられながらも棚を漁ると、中から小型の錆びたナイフを2つ発見出来た。
その一つで何とか裁ちバサミを具現化。
反物が創れる事が分かったので、予定通りに寝具を創る事に……。
いや、その前にベッドをなんとかしたい。
折角きれいな寝具を創るのに、古びた木の台ってのがなんか嫌。
そこでサクッと想像具現化でスノコタイプのシングルベッドを作成しちゃいました。
私が普段から使ってたものと同じだから、何の違和感も無く使えるだろう。
そして私の独断と偏見で、大雑把に布の大きさを決めていく。
「枕は小さめ、掛け布団は大きめ、敷布団は厚みがほしいからもう少し大きな方がいいよね。あとはシーツと、枕カバーでしょ。出来ればタオルケットと毛布がほしいな。あっ、ついでにタオルも必要だね」
鼻歌まじりでザクザク切っていく。
イメージはやっぱり私が愛用していたお布団セット。
レッツ想像具現化、今日の寝床をゲットだぜ。
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