表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/38

16 しょうがないじゃない?

 私の目の高さに成長したリンゴの木から、手頃な葉っぱを20枚ほど拝借しました。

 そんなに取ったら剥げちゃうんじゃ? と心配しましたが、気が付けば元通りに茂っていました(遠い目)。 


 葉っぱから創造したのはトマトとじゃがいも、そして私の大好きなとうもろこし。

 あとは八重子さんが必要だとゴリ押しした大豆。

 まあ、枝豆としても食べれるから良いんだけど。


 トマト5、じゃがいも5、とうもろこし5、大豆5で植えてみた。

 水をあげたらすぐ実がなるかと思ったが、何故か四葉が出て終わりだった。

 木と何が違うのか良く分からない。



『暗くなる前に寝床作りをしないとね』


 八重子さんの言葉で空を見ると、太陽が大分傾いて来ている。

 感覚的には「3時過ぎ」ってところ。

 そこでまたまた疑問が浮かぶ。


「ねえ八重子さん? 私何にも食べてないけど、お腹が空いてないのはどうしてだろう?」


 すると、八重子さんが一瞬動揺したような感じを受けた。


 え? 何か深刻な内容? 聞いちゃマズイ事なんだろうか……。


 そんな私の心配を簡単に八重子さんは斜め上にぶん投げた。


『まだ言ってなかったね〜、忘れてたよ』だって。


 焦ったじゃないかぁ!? ビビらせないでくれよ!!


『カエデがあんなもの(世界樹)なんか創るから、すっかり言い忘れてしまったじゃないか』


 うっ、それを言われると何も言い返せません。


『身体を創り変えたばかりだからね、この世界の魔素に馴染んでる最中なんだよ。明日の朝位まではお腹もすかないし、排泄も無いよ。動いたり神力を使う分には問題が無いから安心しな』


 明日の朝か……。

 流石に間に合わないんじゃやなかろうか?


 不安な気持ちで、植えたばかりの苗たちを見る。

 今まで出来なかった「ダイエット」だと思う事にしよう。

 諦めの気持ちで小屋に向かった。



 小屋に入った途端、八重子さんはまたもや容赦ない事を言いだした。


『早く着ている物を脱ぎな』


 な、何を言い出すんだこの人は(人じゃないけど)。

 身ぐるみ剥いでどうするつもりなんだよ。


「な、なんで脱ぐ必要が有るのさ」


 思わず条件反射で、腕を身体に巻き付けて身を守るポーズを取ってしまう。


『あんたは何を考えてんだい……。今から衣類を使って寝具や着替えを創らないと行けないだろう? あんたそのまま寝るつもりかい?』


 何だよ〜、八重子さんはいっつも主語が抜けてるんだよ。


『カエデの事だから相変わらず寒がりなんだろう? 一体何枚着てるんだい?』


「だって、寒いんだもん、仕方ないじゃない?」


 ブチブチ言いながら、最後の砦であるブラとパンツを隠すようにノースリーブのインナーだけは着たまま。


 テーブルの上には、思ったより着ていたな〜と自分でも関心してしまう量の衣類が乗っている。


 黒のスウエット上下、ヒートテック上下、もこもこ腹巻き、もこもこレッグウォーマー、もこもこ靴下、とどめにもこもこパンツだ。


『さすがにこの量は着込みすぎじゃないかね? どっかの年寄じゃ無いんだから……』


 ……八重子さん、言い訳させてもらうなら、あなたの残してくれた家は古くて寒いんですよ? 気づいてました? あちら(日本)はもうすぐ冬なんですから……。

お読み頂き有難うございます。ブックマーク・評価の方よろしくお願いします。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ