15 人それぞれ?
とりあえず、考えても仕方がない。
八重子さん曰く、『あとは神様が何とかしてくれるのを祈るしか無いね』だそうで。
そんなんで良いの? と思いつつも、拠点作りの続きへ移る事になった。
当面の食料確保の続きだそうだ。
「続き?」
不思議に思って聞くと、食料確保の下準備のために木を植えようとしていたという。
『カエデの想像具現化は、独自のルールってのが有るんだ。それはあんたが出来ると思えば創れるし、無理って思えば創れないっていうものさ』
「私基準って事?」
『ああ、そうだよ。試しに聞くけど、石を石炭に変えられると思うかい?』
「石? 出来るんじゃない? 石炭も石だもん」
『そこなんだよ。人によったら、それは出来ないって言う人もいるはずさ。石炭ってのは 大昔に植物が積み重なって、熱や圧力の影響で炭素が濃集して出来るものだから、厳密には元が石じゃ無いって考え方も有るんだ。けど、カエデは出来ると言う考えなんだよ。人それぞれ独自の概念が違うからね」
分かるような、分からないような?
とりあえず、私が出来ると思うものは問題なく創れるということで、出来ない場合は素材や発想を変えて行く必要があるって事らしい。
で、そこから八重子さんが考えだしたのが、木を創り、葉っぱから植物の種を創るっていうもの。
これだって人によったら、同じ植物なんだから枝から植物の種を創れるじゃんってなると思うんだけど、私は思えないんだよね。
木は木だし、葉っぱは草と同じようなものって思い込み? みたいなものが有るから。
多分、これが独自の概念てやつかな?
きっと、知識の問題では無いんだろうね。
世界樹の葉っぱを使うわけには行かなくて(何が出来上がるか分かったもんじゃないそうだ)、もう一箇所畑を作る羽目になった。
場所は小屋の向かって左手で、水道の前。
ええ、ええ。頑張りました。
2m×2mを耕しましたとも。
ついでにって事で、その奥には3m×3mの畑ですよ。
まあ、虹色魔石で創った木の鍬はいい仕事しましたよ?
おかげで豆腐を耕す感じで楽でしたが、問題はそこじゃない!!
腰ですよ、奥さん!? デスクワークの三十路過ぎが、いくら柔らかい場所とはいえ中腰での作業ですよ?
もう、腰がヘロンヘロンです。
それを訴えたら、八重子さんが呆れて『今は22歳の身体だろうが。とりあえず水を飲みな』なんて言ってきた。
なんで水? なんて思いながらも、喉が乾いたから素直に飲んだんだけどね。
「な、なんで〜? 腰の疲れがなくなったんだけど〜!?」
腰どころか、全体的な疲れもなくなったんじゃない?
『それが神力で創った虹色魔石の効果さ。人には言えない事がいっぱいだねぇ』
八重子さんも色々諦めたのか、声が少し楽しそうに感じるのは気のせいじゃないよね。
その後、虹魔石を使わないで創った木。
『間違っても虹色魔石を使うんじゃないよ!!』
と、やっぱり厳しいご注意が入りましたが、どうせならリンゴが食べたいなって思って創造したんだけど、お水を上げたら私の目の高さに成長しましたよ。
早くも小さな実がなってます……。
創造具現化する時に、赤リンゴと青リンゴで迷っちゃたんだけど、大丈夫だよね?
まさか混ざって、黄色いリンゴなんか出来たりしないよね?
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