10 信じるよ?
取りあえず結界石だと言い切る八重子さん。
安全確保を最優先に考える必要が有るらしい。
「そうは言うものの、何をどうすればいいんですかね、八重子さん?」
『この拠点となる囲いの四つ角に、もう使えなくなった魔石が有るはずなんだけど、探してごらん?』
魔石ねぇ。
いったいどんな物だろう。
四つ角を探してみると、ウズラの卵くらいの透明な石が付いた杭を発見。
どうやらこれが結界石だそうだ。
石が透明って事は魔力が抜けてしまっているって事で、本来は石を新しくしなければならないんだけど、心配無いと八重子さんは言う。
『カエデが神力を込めれば良いんだよ。前の物より強力な結界が張れるからドラゴンだって弾いちまうんじゃないかい?』
いやいや、ドラゴンが居るんですか? 私が見たのはプテラノドンじゃなくてドラゴンだったのかな?
……どっちにしろ、強力な結界になるわけね。
それでは、と思って石を触ってみるが、うんともすんとも言わない
『相変わらずとぼけた娘だね~。体の中の力を注ぐイメージで石を触ってごらんよ』
八重子さんこそ、相変わらずお口が悪いですよね~なんて、久し振りのやり取りが嬉しくてニマニマしてしまう。
神力を注ぐ?
良く分んないから、コップにお水を注ぐ様子を思い浮かべてやってみると、指先から虹色の光が溢れ魔石に入っていった。
何故か、もうこれ以上入らないって思った時には、少し白っぽい虹色の石が出来上がったのだ。
『普通の結界石ってのは、魔力が入っている状態では白くなるんだけど、神力は虹色なんだねぇ』
なぜか八重子さんは感心している様子。
残りの3つも同じことを行い、4つ角に差して置いた。
『これでカエデが許可した者しか入って来れないよ』
なんて言うものだから、少し驚いてしまった。
仕組みは分からないけど、魔力より神力のほうが凄いんだという事らしい。
「次は水の確保が先だよね?」
『そうだねぇ、その方が良いね』
八重子さんの許可も出たので、建物の傍に有った手洗い場みたいな所に行ってみる。
結界石の魔石を見て、ここに有るのと似てるなって思ったんだよね。
八重子さんに聞くと、水属性の魔力が入っていたんだろうとの事。
さっそく同じように神力を注いでみたんだけど、またしても虹色になってしまった。
水に関係しているためか、同じ虹色だが今度のは少し水色っぽい気がする。
水を出すイメージで触れと言うので、そう念じながら魔石に触れてみる。
勢い良く蛇口から水が飛び出して驚いてしまう。
慌てて止まるイメージで触れるとピタリと止まったので、ほっとた。
一口飲んでみたが、今までに飲んだことが無いくらい美味しい水だった。
これで飲み水には困らない。
後は食べ物だけど、本当に何とかなるんだろうか?
そう思った私に、八重子さんのカツが飛ぶ。
『アンタはまた考え過ぎてるのかい? 私が色々教えてやるんだ、心配なんかするもんじゃないよ』
自信たっぷりな八重子さんの言葉。
そうだね。
八重子さんがいるなら、この世界でも私は安心して生きていけるんだよね。
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