1 自己紹介?
またまた思い付きで書いてしまいました。
【にゃんとも不思議な異世界生活始めましたにゃ】と同じ世界の話ですが、色々噛み合わない場合はご容赦ください。
「ぎゃわわわぁぁぁぁーっっ―――……」
何とも色気のない雄叫びをあげながら、私は吸い込まれる様に落ちている。
そう、何故か私は落下しているのだ。
そこは暗闇とはまた違う、見渡す限り一面の黒い世界の中。
見上げると、裂け目のような所から彼が驚いて覗き込んでいるのが見えた。
さわやかな風貌の整った顔が見る影も無く驚愕へと変わっている。
へぇ~。そんな表情でも綺麗なお顔だねぇ。
私は暗闇の中を落下しながら、彼を見た瞬間そんな暢気な事を考えていたのだった。
* * * * * * *
私は新藤楓、絶賛おひとり様満喫中の32歳。
両親は私が10歳の時に事故で亡くなった。
どちらの祖父母も既に他界していたし、一人っ子だった私。
集まりなどで何度も顔を合わせていた優しい叔父や伯母は、色々な理由で私を引き取る事を拒んだ。
そりゃあ、そうだろう。
自分の姪っ子だからって犬猫じゃあるまいし、そう簡単に引き受けられる物じゃないよねって、今の私なら納得できるんだけど、でもね……ここからが怖いけど良く聞く話。
私に結構な額の保険金やらが遺産として入ると知った途端、彼らは変貌したのだ。
両親が死んでただでさえショックを受けていた私だったが、金に群がる亡者と言うものは本当に恐ろしいと、子供ながらに実感した出来事だった。
目を血走らせ、自分達が育てるからと言い争うその口で『遺産を自分達の好きに使える』『金は自分達の物だ! 渡さない!!』と宣う言葉を聞いた時は、本当に怖かった。
彼らは子供の私には分からないだろうと、そんな事を平気で口走っていたのだが、小学四年生ともなれば意味なんて理解出来るというものだ。
父母が生きていれば知る事もなかったであろうその姿に、「私はどうなっちゃうんだろう」と怯えてしまったのは言うまでもない。
そんな私を救ってくれたのが、母方の祖母の姉にあたる大槻八重子さんだった。
八重子さんはご主人を早くに亡くして一人で生きて来た豪快な女性で、当時65歳。
厳しくも愛情深い人で、彼女には本当に良くしてもらったのだが、15年後、私が25歳になった時に病気で亡くなってしまった。
その後、私は八重子さんが手を付けずにいてくれた両親の遺産と、彼女が残してくれた家で在宅ワークをしながらのんびり暮らしている。
何度か出会いもあったが結婚とはならず、一人が気楽よねって感じで現在に至るわけだ。
少しぽっちゃりぎみ?で、極々普通顔(決してブサイクでは無いと思いたい)。
最近は手入れが面倒だからと、黒髪のショートカットにしているが、女を捨てたつもりも無いんだよね。
まあ言い訳させてもらうなら(八重子さんのおかげで少しは良くなったのだが)、金の亡者に群がられた事で人間不信に陥っていたのだ。
本当に信じられるかを見極めるのに時間を掛け過ぎてしまうのが、婚期を逃した原因だろうと思う(多分)。
夕方16時過ぎに次話投稿いたします。
読んでくださりありがとうこざいました。
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