意味がわかると怖い話
オレの恋人には霊感がある! と思う!
付き合う前から「この道は通りたくない」とか、「あの店には行きたくない」とか、一見ただのワガママみたいなことを言い出す奴だった。
でもあとからその道で通り魔が出たり、店で集団食中毒が起こったりする。
どういう理屈かさっぱりだけど、あいつには人に見えないものが見えてるんだ、きっと!
先週、二人で旅館に泊まった。
築ン十年は経ってるらしいけど、数年前に大規模リフォームしたというだけあって、部屋はキレイだった。
先にシャワーへ向かったオレをよそに、あいつがスッと部屋の奥へ進んだ。
壁に張られた年代物の全身鏡。大きさはオレの身長くらいか。
「なに、気になんの?」
「んー」
オレの質問にも生返事をして指先を鏡に当てる。それからあいつはおもむろにフロントに電話をかけ始めた。
「あの、部屋変えてもらえたり……満室ですか。えっとじゃあ…………」
結局オレが風呂から上がったとき、鏡は大きな布で覆われていた。
それとなく理由を探っても『気にするな』の一点張りだ。
「ーーーーだからオレは思うね、きっとアレはいわくつきの鏡だったって!」
「元ラブホだぞあの旅館」
「『マジックミラー 見分け方』で検索してみ?」
end.