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約束と契約3  作者: オボロ
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#25 即席救助隊結成



「珍しいよね。マリアがこんな急な頼み事、してくるなんてさ。」

「いいじゃん。マリアの頼みなら、聞いてやろうぜ。」

「別にいいけどね。で、何やるの?」


B・B達の到着は素早かった。

マリアが念を送って、わずか3分足らずでの、到着だった。


「彼らは?」


突然に現れたB・Bたちを見て、沙也は驚いた顔をした。


「勝手に呼んでしまってごめんなさい。小金井くんを助けに行くのは早い方が良いと思ったの。でも、凪も、沙也さんも、行かない方がいいような気がするから……。助けには、わたしと彼らで行くわ。彼らは、黒石神社で働いているわたしの家族のような人達。沙也さんは、警察が来るまで、柳くんを押さえていて。カエル男に案内を頼みたいの。」


「待ってくれ!案内ならわたしが行く!」


凪の大きな足の下から、もがきながら顔を出し、ネズミ男が叫んだ。


「家族を人質に取られているんだ。三郎はわたしの家族を助けてはくれない。二郎も三郎も、自分達の命だけが大切なんだ。だから、わたしを連れて行ってくれ。わたしの方が役に立つ。家族を助けたいんだ!」


「何を言っているんだ!次期宮司の子供になら、彼女の病気が治せるって、教えてくれたの、源治さんじゃないか。頼んでも断られたから、無理やりに連れて行って治してもらうんでしょ?こいつらに邪魔されたら、彼女の病気、治してもらえないだろう?人質?人質になっているのは、彼女の方なんじゃないの?ネズミが何を言っているんだ!」


マリアに訴えかけるネズミ男をさげすむように見て、柳梗平は言った。


「へぇ、人間なのに、あいつがえるんだ。」


ヴィゼが、柳梗平の前にしゃがんだ。


「人間には、ああいうたぐいのモノは、普通、えないんだ。視えるってことは、ああいう類のモノに手を付けられたってことだよ。あんたのいう『彼女』は、ああいう類のモノなんだよ。だろう?」


ヴィゼは言って、ネズミ男を見た。


「教えてあげなよ。『彼女』の正体。」


ネズミ男は、目を伏せ、言った。


「お嬢は、オオジョロウグモです。」


「え?」


柳梗平は、絶句した。


驚いたのは、柳梗平だけではない。

その場に居る、ネズミ男とカエル男以外の全員が驚いていた。



オオジョロウグモのメスは、日本で最大の蜘蛛と呼ばれているらしい。

昆虫は勿論、巣にかかれば、鳥や魚も食べるという。

つまり、なんでも食べてしまうということだ。

たまたま子供の1人が、お嬢の巣にかかり、助けようとした妻も、一緒に居た他の子供達も、纏めて全員、オオジョロウグモのお嬢に捕まってしまったのだと、源治は言った。

家族を食べない代わりに、源治は、お嬢の望むモノを、人間の世から連れて来る約束をしたのだと言った。


人間の子供を。

次期宮司を。


「お嬢は、次期宮司を喰らい、もっと強い力を得ようとしています。次期宮司の子供を釣る為の餌として、その子供を連れて行っていました。人間の世では、大人が1人で夜中に出掛けていたぐらいのことでは、何の騒ぎにもなりませんが、子供だったら話は別のようですし、警察は自分達の手に負えないと判断した時、次期宮司を呼ぶと聞きました。お嬢は本気です。あの子供を手に入れたら、お嬢は絶対に喰らうでしょう。急ぎましょう。案内します。わたしも一緒に三郎を止めます。」


ネズミ男の源治は、必死に訴えかけた。

マリアは、ネズミ男の源治を案内役にすることにした。


オオジョロウグモであるお嬢の特性を考えて、マリアと一緒に行くのは、比較的、体の大きい者にした。


イヌワシのB・B。

ペルシャ猫のノラ。

イタチのヴィゼ。

カラスのクロ。


コウモリのバトと、カエルのドドは、万が一のこともあるので、その場に残り、凪と沙也を手伝うことになった。


「なぜ、わたしが残る!」


凪は納得しなかった。

それでも、マリアは、譲らなかった。


「凪にもしものことがあったら、大変でしょ?わたしのことは、B・Bたちが守ってくれるわ。大丈夫よ。無茶はしない。ちゃっちゃと祓って帰って来るわよ。」



昔、金石神社の神使に何があったのかは知らない。

でも、こういうことは、昔からあったのかもしれない。

平和そうに見えたあちら側でも、戻って来るまでは大変だった。

次期宮司が居ると聞いて、たくさんの妖が集まって来た。

これから向かう場所は、たくさんの妖が通常に使っている場所ではなく、次期宮司を狙い、次期宮司を攫う為だけに通した場所だ。

目的が全く違う。

よくないモノが待っているに違いない。

金石神社の二の舞になってはいけない。

だから、凪は置いて行く。



「凪はお留守番。待っていてね。沙也さん、後のこと、よろしくお願いします。」


琴音を、御弥之様を、悲しませるわけにはいかなかった。







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