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約束と契約3  作者: オボロ
23/35

#23 最後の賭け



「………。」


もう、後がない……


ネズミ男の源治は、切羽詰まっていた。


次に、次期宮司の子供を連れて帰らなければ、あの大蜘蛛女は、絶対に家族を喰うだろう。

おそらく、全員ではない。

子供を、多分、1人だけ……。

目の前で喰らい、絶望させるに違いない。

そして、また脅すのだ。

次こそは連れてこい———と。


「………。」


カエル男の二郎じろう三郎さぶろうを見た。


こいつらに逆らう度胸は、無い。

命乞いをし続けて、生き延びてきた奴らだと、大蜘蛛女は言っていた。

「何でもするから殺さないでくれ。」と、目の前で兄を喰われた弟2人は、大蜘蛛女に頼み込んだのだと言う。

そんなカエル男2人が、家族を助けたいから力を貸して欲しいと、ネズミ男に言われたぐらいで、命がけの挑戦をしてくれるとは思えなかった。

今のカエル男2人が喜んでやってくれるだろうことは、大蜘蛛女が欲しくて欲しくて堪らない、次期宮司の子供を連れてくる手伝いくらいだ。

ならば、ネズミ男も、”次期宮司の子供を連れて来る”———そのことだけを考えて、作戦を練る必要があった。


万が一の場合、次期宮司の子供を釣る為の餌であった柳梗平は、死んでもいい?

殺さない程度に怪我を負わせ、次期宮司の子供を脅してみるのはどうだろうか?


2人も釣れたんだ。

せめて1人ぐらいは連れて戻りたい。


柳梗平を上手く使えば、次期宮司とはいえ子供、1人ぐらい、どうにかなるのではないだろうか……?


ネズミ男は考えた。











《梗平くん、梗平くん。今日はどんなお話しを聞かせてくれるの?》


長い髪の少女が微笑みかける。

白い肌は、外を駆け回ることが出来ないあかしのようだ。

細い腕も身体も、守ってあげなくてはいけない存在だと思わせる。

笑っていて欲しいと思う。

寂しい思いをさせたくないと、心から願ってしまう。


《梗平くん、待っているからね。約束よ。絶対に会いに来てね。》



「………。」


午前2時22分、柳梗平は、目を覚ました。

この時間に目覚める時は、いつも少女の夢を見た後だった。


源治さんが来る……。


柳梗平は、唐突に思い、病室を出た。







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