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約束と契約3  作者: オボロ
21/35

#21 百合の花のような『お嬢』



パシーン!

「ぐっ!」

パシーン!

「がっ!」

パシーン!

「ぐぁっ!」

パシーン!

「がはっ!」



パシーン!

「申しわけありません!」

パシーン!

「申しわけありません!」

パシーン!

「許してください!」

パシーン!

「許してください!」



パシーン!

「ゲッ!」

パシーン!

「ゲコッ!」

パシーン!

「グワッ!」

パシーン!

「ゲコッ!」



屋敷内に鞭で叩く音が響き渡っている。

鞭で叩かれる者の呻き声も聞こえていた。


鞭を使っているのは、少女だ。

髪が長く、色白で品の良さそうな、着物姿の少女だ。


「分かっているの?必要なのは、あの子供ではなく、次期宮司なのよ?あの子供は次期宮司を釣る為の餌。餌にばかり気を取られているんじゃないわよ!」


身体が弱いはずの少女は、大声で男たちをののしりながら、鞭を振り、男たちに打ち付けていた。


「次期宮司の子供を連れて来るのに、一体、どれだけ待たせれば気が済むの!あんまり待たせるようなら、お前の家族を食ってしまおうか?それでもいいのかい⁈」


鞭で打たれながら、ネズミ男は言った。


「待ってください。それだけは、まだ待ってください。必ず連れてきます。今回は次期宮司の子供が2人も釣れたんです。次は、必ず連れてきますから……。」


「お願いします……。お願いします……」

「ゲコッ……ゲコゲコッ……」


カエル男2人は、頭を抱え、怯えながら、祈るように呟いていた。


少女は、姿を徐々に変えていった。

身体は大きくなり、手足は伸び、着物は引き千切ちぎれた。

顔の形も、手足の形も変わり、少女は、醜くも恐ろしい蜘蛛の姿になった。


「次は無いよ。今度は必ず連れて来なさいよ。」


大きな目でギョロリと、大きな蜘蛛女は、ネズミ男とカエル男たちを睨みつけた。


いつの間にか、屋敷も庭も消えて、うっそうと茂る木々に囲まれた空き地に変わっていた。

周りを囲む木々のあちらこちらに、蜘蛛の糸が張り巡らされている。

一際、頑丈に蜘蛛の糸が張られている場所があり、その先は洞窟になっていた。

洞窟の中には、たくさんの骨が転がっている。

洞窟の奥の方に居るのは、ネズミ顔の女の人が1人と、ネズミ顔の子供が3人。


「………。」

「………。」

「………。」

「………。」


4人は、互いに身を寄せ合い、震え、怯えていた。







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