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約束と契約3  作者: オボロ
20/35

#20 神使の体の大きさ



凪の本当の姿は、大きな白い狐だ。

大きな白い狐の凪のひとみは、マリアの顔よりも大きい。

マリアを咥えることも、マリアを背中に乗せることも出来るし、翼が無くても空を駆けることだって出来る。

しかし、金石神社の神使、沙也は、普通の鳩よりは大きな体と翼を持っているものの、小金井佑介を運べるほどには大きくなかった。


神使にも種類はたくさん居て、その種類によって体の大きさは違うのだろうか?


マリアは不思議に思い、凪に聞いた。


「わたし達の体の大きさや能力は、神使である時間の長さに比例している。金石神社の現神使は、先々代の宮司の時から仕えるようになった。日が浅い為にまだ体は小さいが、いずれは大きくなるだろう。今は小さいなりに出来ることをすればいい。」

「沙也さんの前の神使はどうなったの?」


先々代の宮司の時に神使になったと言うのなら、それまでの神使は何処へ行ってしまったのか?


マリアの素直な疑問だ。


「小金井くんは、もう一人神使がいるって言っていたわ。その人が前の神使?一つの神社に神使は何人居てもいいの?」


「一つの神社に神使は一人でなくてはいけない決まりは無い。そこの神が使いと決めたなら、それが神使となる。金石神社の神使は、双子の白い鳩だ。沙也の他に居るもう一人の神使とは、沙也の双子の姉で、名は沙衣さえという。彼女たちの前の神使は白い鷲だった。」


凪は、何でもないことのように、答えていた。


「その白い鷲の神使はどうなってしまったの?」


「先々代の宮司がまだ次期宮司だった時に、亡くなったと聞いている。神使だって致命傷を追えば死ぬ。当然のことだ。」


凪は、さらりと話したが、マリアは、これ以上、根掘り葉掘り聞いてはいけない話だと思ってしまった。

自分で聞いておいてなんだが、そういう話になるとは思っても居なかった。


神使でも死んでしまう……


マリアは、その真実にショックを受けた。


神使でも死んでしまうことがあるということは、凪も死んでしまう可能性があるということ。

小金井佑介が、いつも神使を一人しか連れて来ないことや、見張りにマリアも凪も駆り出さなかった理由が、そこにあるような気がしてしまった。


神使が居なくなってしまった神社は、どうなってしまうのだろう。

神使が致命傷を負うなんて、一体、何があったのだろう。


そう考えると、あちら側や妖が関わっていないとは思えなかった。

危険な場所に出てしまうかもしれないと、柳梗平を追ってあちら側へ行くことを、凪は止めていた。

凪のその考えは、間違っていなかったと、マリアは思った。


マリアの戦う術は弓だけ。

万が一の時、凪は絶対にマリアを助けようとする。


宮司の孫だから。

次の宮司になる者だから。


凪を失ってしまうということは、黒石神社の神使を失ってしまうということ。

そんなこと、絶対にあってはならない。


琴音のためにも。

御弥之様のためにも。


無理はしない。

凪に無理は絶対にさせない。


凪が、マリアを、身をていして守らなければならない、そんな事態には、絶対にならないようにしなければいけない。



無理はしない。

凪に無理は絶対にさせない。



マリアは密かに誓っていた。







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