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約束と契約3  作者: オボロ
16/35

#16 B・Bと使い魔達の協力



やなぎ梗平きょうへいの見張りを、マリアにお願いされたB・Bと使い魔達は、二つ返事で引き受けた。

二人一組の交代制なので、家事も神社の仕事も、残った四人が負担することになってしまうが、誰も不満を言わなかった。


———マリアの手伝いが出来る———


琴音に仕事を任された時と同じくらい、B・B達は張り切っていた。


組み合わせは、飛べるモノと飛べないモノで、組むことになった。


クロ+ヴィゼ

バト+ドド

ノラ + B・B


飛べるモノが飛べないモノを運ぶ事態を考慮しての組み合わせだった。


B・B達がやるべきことは、次の通り。


・柳梗平の写真を見て、柳梗平の顔を覚える。

・昼間の内に病院へ行って、柳梗平の病室の場所を確認する。

・夜になったら、病院の出入り口と柳梗平の病室が見える高い木の上で待機。

・柳梗平に動きがある、または、柳梗平に近づく何者かの動きがあったら、すぐにマリアと凪に念を送って報告する。

・妖らしきモノが現れても、柳梗平に近づく様子がない場合、その妖の特徴を覚えておくにどめ、帰宅した後、必ず、報告する。

・たとえ、暇でも絶対に眠ってはいけない。

・互いに起こし合い、励まし合って、朝まで頑張ること。


B・B達は気合を入れていた。


倒れているのが発見された当日の夜は、金石神社の沙也が見張りをやった。

朝まで何の連絡も無かったので、柳梗平と柳梗平の周りに、何の動きも無かったらしい。

次の日、動きがなかった報告と、今日から三日間の見張りを頼む連絡が、小金井佑介から入った。


「昨晩、柳梗平に異変は無かった。今晩からの三日間、そちらの見張り、しっかり頼みますよ。」


少しトゲのある言い方が、マリアには気になった。


黒石神社の見張りの一日目は、B・Bとノラがけ負った。

見張りという役目を初めて任されたB・B達にとって、これは未知なる役目であり、そういう意味でも、一組目は重要だと考えていた。

どこで、何を、どうやって見張るのか。

後に続く4人に、見張りというもののやり方を教える必要があった。


まず、B・Bとノラは、まだ日がある夕方に、柳梗平の写真を持って、病院へ行った。

見舞いを装い、マリアと凪から聞いていた柳梗平の病室へ向かい、柳梗平が病室に居ることを確かめると、再び、外に出た。

その際、病院の出入り口も確認した。


「お見舞いって、何時に来ても大丈夫なんですか?」


通りがかった看護師に、B・Bは聞いた。

流暢りゅうちょうな日本語で尋ねて来たイケメンの外国人二人を見て、少しパニックを起こした若い女性の看護師は、入院患者の家族に話すような詳しい説明を始めた。


「当院の面会時間は、平日は午後3時から8時までです。土曜、日曜、祝日は、午前10時から午後8時までとなっております。正面玄関も午後8時で閉鎖されますので、それ以降は緊急用の出入り口をご利用ください。」


緊急用の出入り口の場所まで、手でし示して、教えてくれた。


緊急用の出入り口は、病院の側面に一か所だけしかなかった。

B・Bとノラは、柳梗平の病室が見えて、緊急用の出入り口が見下ろせる高い木の上で見張ることにした。

イヌワシになったB・Bは、ペルシャ猫のノラを木の上まで連れて行った。

知らない人が見たら、イヌワシに捕らえられた絶体絶命のペルシャ猫だろう。

実際には、鋭い爪が食い込むことがないように、イヌワシはペルシャ猫を、優しく掴んでいた。


病室の明かりが消えた。

消灯の時間だ。

このまま何も起こらず、朝になってくれればいいと、B・Bとノラは思った。






「おはよう。」


寝ぼけまなこで、ぼーっとしながらマリアは起きて来た。

B・Bとノラが気になって、マリアは余り寝ていなかった。


何かあったら、思念を送り、連絡する。


寝ていて思念に気付かなかったらどうしよう……


B・Bとノラが折角役目を果たし、思念を送ってくれたのに、寝ていて気付かなかったら申し訳ないと、マリアは心配で寝られなかった。


「何のために、見張りをわたし達以外のモノにと、金石神社次期宮司が言ったのか、分かっているのか?昼間、やるべきことに支障が出ないようにと、考えての事だ。動きがあれば、次の日に何があろうと行かなければならない。だが、それ以外の日は、寝られるだけ寝ておけ。いざという時、眠くて動けないじゃ、冗談にもならん。黒石神社の名に泥を塗るつもりか。」


眠そうな顔で起きて来たマリアを見て、すぐに察しが付いた凪は、痛烈に言った。


「マリア、わたし達を信じて、夜はしっかりと寝てくれ。予想通りなら、動きがあるのは、7日後の夜。まだ7日もあるんだ。寝不足も、そこまで続いたら体を壊す。動きがあれば、たとえ寝ていようと起こせるだけの思念を送ると約束する。だから、安心してくれ。」


帰って来たB・Bにも、すぐに見破られてしまい、お願いだと、言わんばかりに頼まれてしまった。


「わかった。今夜からはちゃんと寝る。ゴメン。みんなに任せた。」


マリアは反省して、B・Bたちを信じ、夜はきちんと眠ることにした。



次の見張りは、クロとヴィゼだ。

その次の見張りのバトとドドも含めて、B・Bとノラは、自分達がした見張りの手順を教えた。

教えられた4人は、忠実にその手順に従い、見張りを務めた。


マリアも、凪とB・Bに言われたことを守り、B・Bたちを信じて、いつも通りに眠った。







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