#14 今後の対応と作戦
柳梗平の奇行に対しては、警察でも引き続き警戒をしていくらしい。
超常現象というものを、信じていない警察の人は中には居て、その人達は、柳梗平の自作自演を疑っているのだという。
協力者がいる可能性は高いと考えているのだと、小松傑は言った。
「あれぐらいの年の子は、周りから注目されたいと言う願望があるからね。家でも学校でも大人しい子ほど、大胆なことを考えるんだよ。」
病室を出た後、小松は、柿坂と榊原が席を外している間、もううんざりだと言わんばかりの態度で、マリアに話し始めた。
小金井と沙也は、病院の外に出て、どこかに電話を掛けていた。
「超常現象なんて、そうそうあるもんじゃないし、そもそも、ぼくは信じていない。だから、ぼくには向いていないんだ。なのに、柿坂さんはぼくを育てるって言って、ぼくの言い分を全く聞いてくれない。酷いと思わない?誰にでも向き不向きはあるのに……。」
「はぁ……。」
マリアは、訳の分からない愚痴を聞かされて、うんざりしていた。
凪は、小松の話を、すべてスルーしている。
適当に話を聞いている振りをすればいいのに、まともに話を聞いてしまっているマリアが悪いと、思っているのだろう。
外で電話をしていた小金井が戻ってきた。
「今、うちの宮司と話して来たんですが、夜間、交代で見張りませんか?」
「見張り?柳くんを?病院で?」
イマイチ、ピンとこないマリアは、小金井に聞いた。
「病院内ではなく、病院の外です。うちの神使は、沙也の他に、もう1人居ますし、黒石神社には、凪様の他に、神使ではないけれど、動いてくれる者達が居ると聞いています。確か、6人。それなら交代で見張ることが出来ます。どうですか?上手くいけば、現場を押さえることも出来る。試してみる価値はあると思います。」
「どう思う?凪。B・B達、やってくれると思う?」
小金井の作戦は理解したが、即答するには難しく、マリアは凪に相談した。
「何の話?子供だけで何かするのはダメだよ。警察に任せておけばいいんだから。余計なことはしない方がいいって。ねぇ、聞いてる?今、柿坂さん、呼んで来るから。」
話を聞いていた小松は、慌てて柿坂を呼びに行った。
誰も小松のことは気にしていない。
凪は、少し考え、そして、マリアに言った。
「多分。お前が頼めば、喜んで引き受けるとは思うが……。ただ、B・Bは兎も角、他の奴らが、事の重大さを理解出来るか、少しばかり不安がある……」
「真面目には、やってくれると思うわよ。心配があるとしたら、暇だと寝ちゃうかもしれない。1人じゃ心配だわ。」
「じゃあ、二人一組でもいい。今夜は沙也が見る。明日の夜から三日間は、そちらで見るとして、その次の日は、また沙也が見る。その繰り返しでいい。どう?動きがあったら、すぐに連絡する。連絡があったらすぐに合流する。これでどうですか?これでいいですよね?」
小金井は、目を輝かせて、同意を求めた。
マリアと凪は、それで承知した。
帰ったら、B・Bたちに話さなければならない。
「早く止めてくださいよ。何かあったらどうするんですか。」
マリアと小金井の間で、大体の話が決まったところに、小松が柿坂を引っ張って戻って来た。
柿坂と榊原は、2人で人数分の缶ジュースを、持って来ていた。
「丁度良かったです。今後の対応が決まりました。今から、柳くんが倒れていた現場へ案内してください。場合によっては、そこで合流することになりますから。」
7人は、2台の車に乗って、現場に向かうことになった。