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第53話 名探偵シャーロット

「どういうことだ? なぜ、俺のせいになるのだ?」


 ジルはシャーロットが何を言っているのか、さっぱり分からず戸惑う。しかし、カイルの様子からシャーロットがいい加減なことを言っているのではない事はわかった。


「ジル、今まであなた、コレット以外の女性を特別扱いしたことある?」

「ロッティ、お前は幼馴染みだろう」


 ジルは即答する。


「私はいいの。もう、兄妹みたいなものなのだから……他には、いないでしょう」


 シャーロットは呆れぎみに確認する。ジルに女性関係で浮いた話が出たことが無かった。そのため、冗談交じりにいつも一緒にいる従者のグイドが恋人ではないかと噂されるほどだった。


「……まあ……いないな。だから、それがどうだというのだ? お前の言わんとしていることはさっぱり分からん」

「つまり、カイルは、あなたをリリスに取られたと思ったのよ」

「はぁ⁉」

「え⁉ わたしが取ったってどういうことですか⁉」


 シャーロットの言葉にジルとリリスの言葉が重なる。


「カイルはあなたのことが好きなのよ」


 シャーロットの言葉にジルは固まり、その意味をかみしめ、カイルを見る。


「カイル……お前……」

「いや! 違う! そうじゃないんだ! ジル! ロッティの言うことなんて全部嘘だ! 嘘なのだ!」


 それまで諦めたように聞いていたカイルは激しく否定する。


「そうよ、ジル。あなたは思い違いをしているわ。カイルにとってあなたは恋人という意味で好きなんじゃないのよ」

「どういう意味だ? 俺に分かるように説明してくれ。お前達の言っていることは難しすぎる」


 ジルは心底困ったようにシャーロットとカイルに説明を求める。


「あのね。カイルにとってあなたは憧れなのよ。自分に絶対の自信を持ち、誰にも媚びず、誰の物にもならない。孤高の存在。手を伸ばしても誰も手に入らない、手に入れてはいけない。そんなあなたが、ある日突然、リリスさんを特別扱いし始めたのよ。わたしはその理由を知っているから驚きはしなかったけど、他の人は驚いたし、カイルにとってそれは耐えがたい光景だったのよ。そうよね、カイル」


 シャーロットの言葉にカイルは観念したように黙って頷く。


「それで、この女が他の女同様、ぼくになびけば、君の目も覚めると思ったのだよ。こいつも他の女どもと一緒でただの尻軽女だと分かれば君だって幻滅するだろう。けれど、全くそんなそぶりを見せなかった」

「だから、誘拐までして、わたしにずっと自分の物になれって要求してきたのですね」


 リリスはようやく、カイルの要求の理由が分かった。恐らく、あのとき素直にカイルの要求を飲んでいれば、さっさと解放されて、そして、すぐにカイルから捨てられる事になっていただろう。


「だって、君は別にジルじゃなくても良いのだろう! 身分の高い男であれば! だからあのハシームともあんなに仲良くしていたのだろう」


 まあ、ある意味カイルの言うことは間違っていない。リリスにとって基本的に誰でも仲良くなりたい。しかしそれは恋人などの恋愛関係ではなく、友人でお互いの領地を助け合えるような協力関係だった。


「カイル様(海産物、塩、海運)、あなたは勘違いをしておいでです。わたしと殿下(軍事)はそういった関係ではありません。ある理由でわたしがコレット様とお知り合いになったので、懇意にしていただいただけです」


 リリスはよどみなく、きっぱりと否定する。誤解を生む余地がないように。


「本当なのか? ロッティ」


 ジルに聞いてもごまかされると思ったのか、カイルはシャーロットに確認を取る。


「ええ、そうですよ。カイル、あなたの勘違いですよ」


 ジルが気を失っているリリスにキスをしているのを見ているシャーロットは、「今のところは」と言う言葉を飲み込んだまま、カイルに告げた。


「じゃあ、ぼくは何の為に……」

「早とちりなのよ」


 カイルの幼馴染みとしてシャーロットが容赦ない止めの一言を放つ。


「リリス、すまなかった。ジル! ぼくはどんな処分でも受ける。ただ、死刑だというならば、君の手で殺してくれ。それならばぼくは本望だ」


 カイルは涙をぬぐう手を縛られたまま、リリスの謝罪をした。その涙は床を幾度も濡らしていた。

 それを見て、ジルは最後の判断をリリスに委ねる。


「カイルは罪を認めている。あとはリリス、お前が罰を決めるだけだ」


 事件を表立てない以上、法に則らず、私刑を実行するしかない。そしてその罰は被害者が決める。治安部隊のトップのジルにとってそれが当たり前のことだった。法で裁けないのであれば、被害者が受けた被害は被害者にしか分からない。その罰は被害者が決めることだ。公平さを求めるジルはその処分をリリスに委ねる。

 一歩間違えば、リリスは死んでいた。事実、ハシームは重体である。いくらリリスが下級貴族とはいえ、リリスが死んでいれば最悪、カイルは死刑。軽くても国外追放と言ってもおかしくないとジルは思っている。そしてカイルもそれを自覚している。

 この場にいる三人の内、シャーロットだけが、リリスがあまりにも重い罰の場合を言い渡したとき、どうにかしてリリスを説得しようと考えていた。

 三人は固唾を飲んでリリスの言葉を待った。

リリスの判決はいかに

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