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第52話 拘束されたカイル

 今回の騒動の犯人カイルはジルによって拘束されていた。

 身分が身分であったため、通常の留置場を使用できなかった。

 そのため、ジルの管理している屋敷の中に閉じ込められている。屋敷の一番奥の窓ひとつ無い部屋でカイルとジルは二人きりでいた。


「何の目的でリリスを監禁した?」


 念のため、椅子に拘束した状態のカイルにジルは話しかけるが、カイルは口をつぐんだままだった。いつもであれば拷問をしてでも自白させるジルであったが、三大貴族のカイルが相手では乱暴な手も使えない。


「幸い、死人も出ていない。理由次第では罪を軽くしてもいいと俺は思っている。なあ、理由を言ってくれないか?」

「……」


 相変わらず、黙秘を続けるカイル。


「おい、いい加減にしろ! いくらお前でも、何も言わないのであれば、それなりの罰を受けてもらうぞ」

「……」


 ジルはなだめすかしたり、怒鳴ったりしてカイルから動機を聞き出そうとするが、カイルは黙ったままだった。そして、その顔はどことなく楽しそうだった。


「はぁ~、お前は自分が悪いことをしたという自覚はあるのか?」

「ぼくは悪いことをしたのかい?」


 カイルはここに来て初めて口を開いた。


「女性がぼくの船に遊びに来て、帰らなかっただけだろう。よくあることじゃないか」


 普段通りで当たり前の事だと言わんばかりに。


「リリスが望んだことだというのか? あいつは帰りたいと言わなかったのか?」

「何言っているのだい。そんなの口だけだろう。本心ではずっといたいに決まっているだろう」


 カイルはいつもの軽薄な笑顔を浮かべていた。その表情を見て、ジルはずっと気になっている事を聞く。


「……そんなに引き留めたいほど、リリスの事が好きなのか?」

「何を馬鹿な事を言っている! そんなわけないだろう! ぼくが好きなのは……」


 捕まってからずっと余裕の表情を見せていたカイルが、急に感情的になる。


「お前が好きなのは?」

「君には関係ないことだろう……」


 カイルはぷいっと横を向いて、また口を閉じてしまった。

 その姿を見てまた振り出しに戻ったジルがあきれていると、部屋の入口の扉が開かれた。


「カイル。こんなことをしでかしておいて、そんなことは言っていられないわよ」


 シャーロットがリリスを連れて部屋に入ってきた。


「わたしはね、カイル、あなたがこんなことをした理由をだいたい分かっているつもりですのよ」

「止めろ! ロッティ!」


 カイルは今にも飛びかからんと歯をむいてシャーロットに怒鳴る。普段のいつも笑顔を浮かべている爽やかなカイルとは思えない必死な形相だった。

 しかし、その反応を予想していたシャーロットは平然としていた。


「どういうことだ? 何か知っているのか?」

「カイルがリリスを誘拐したのは、あなたのせいよ。ジル」

「……」


 シャーロットの言葉に諦めたようにカイルはうなだれていた。

さて、次話でカイルの犯行動機が明らかに

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