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第47話 犯人の凶行

 リリスを監禁にしている部屋の中で、犯人はベッドに腰掛けているリリスに話しかけた。


「いい加減、ぼくの物になりなよ」

「何度も言いますが、いやです。だいたい、なぜ、そんなにわたしにこだわるのですか?」


 リリスは、何度目かのやりとりにうんざりする。しかし、このとき、しびれを切らした犯人からリリスは思いもよらない質問を受けた。


「それはやはり、君には恋人がいるからか?」


 恋人? 誰のことを言っているのだろうか? まさか、ジルの事を言っているのだろうか? 学院の人からも聞かれるが、そのたびに否定していた。そのため、最近は聞かれることもなくなったので、誤解が解けたものと思っていた。それなのにまだ、誤解をしている者がいることに、心底驚いていたリリスが黙って考える。


「否定しないと言うことは、やはりそうなのか……なんで、なんで、ぼくじゃないのだ!」

「勘違いです。ジル王子(軍事)は恋人ではありません。わたしは今のところ、だれともお付き合いする気はありません」


 リリスはきっぱりと宣言した。これで犯人が諦めて、解放されることを願って。


「そうかい」


 犯人の言葉にリリスは理解してもらえたと思い、ほっとした。これで長かった監禁生活から解放される。リリスがそう思ったのは間違いだった。

 犯人の手に大きなナイフが光る。

 リリスはローブで縛られている訳ではない。ならば、そのナイフの意味はリリスを傷つける事しか考えられない。

 リリスは慌ててベッドから立ち上がると、ナイフに対応できる物を探しながらゆっくりと距離を取る。急に駆け出したり、大声を上げたりすると、焦った犯人が思いがけない行動に出る可能性がある。例えば、急にリリスを刺したりするかもしれない。まずは、犯人の手からナイフを取り上げたい。そのためにはリリスにも武器が必要だった。

しかし、部屋の中でそのような物を探すには限度がある。仕方なく、部屋の真ん中にあるテーブルを二人の間に入れるようにリリスは逃げた。


「落ち着いてください。どうなさったのですか? 急に」

「うるさい! お前は何も分かっていない!」

「どういうことですか? そもそも、なんでわたしにそんなに執着するのですか?」

「お前なんか、お前なんかどうでも良い! なんでお前なんかが……」


 リリスはなんとか落ち着かせようと話しかけるが、犯人の興奮が収まる気配を見せない。それどころか、何か腹を決めたように、しっかりとナイフを握りしめてリリスに言った。


「もう良い。お前が死ねば、全て元通りだ」


 テーブルは固定されているため、ひっくり返して盾にする事もできない。どうにか、ドアまで逃げ出せないかスキを伺う。投げつける物も見当たらない。

 ならば仕方がなかった。


「誰か‼ 助けてー」


 リリスは大声を上げた。これまで、危害を加えられる気配がなかったため、おとなしくしていたのだが、今はそんなことも言っていられなかった。

 リリスの声を聞いて、誰かが部屋に入ってくれば、犯人に隙が生まれるかもしれない。その瞬間に部屋の外に出てしまえば、なんとか逃げ切ってみせるとリリスは考えていた。しかし、そんなリリスの希望を打ち砕くように犯人は冷静な声で言った。


「どうぞ、いくらでも大声を出してください。でも、誰も来ませんよ」


 実はリリスも心のどこかでそう思っていた。しかし、ほんの少しでもスキを見せてくれればと期待したがどうやら無駄のようだった。

 ああ、こんなところで殺されてしまうのか。こんな訳の分からない理由で……。

 リリスが諦めかけた時だった。

 ドアノブが回される音が聞こえた。


「なっ!」


 それは犯人にとっても思いがけない音だった。

 ほんの少しのスキが生まれた。

 リリスはそのスキを見逃さなかった。犯人を突き飛ばしてドアへ向かうと、ちょうどドアが開かれた。

 犯人にしたのと同じように、ドアの向こうの人物を突き飛ばそうとして、立ち止まる。

とうとう次話、リリスを誘拐した犯人の正体が明らかに

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