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第45話 シャーロットの苦悩

 シャーロットは心配と同時に、いらだちを感じていた。

 リリスの家に様子を見に行ったはずのジルが、次の日から学院に来なくなったのだった。

 当然、リリスの様子が分からないままだった。

 女の直感と幼馴染みの経験からジルがなにかをしていると分かった。また、自分を蚊帳の外に押しやって。

 そのため、シャーロットはジルがいなくなって緊張感が緩んでいる教室で、そのジルの動向を知っていそうな男に声をかけた。


「カイル、ジルが何をしているか知らないかしら」


 ジルのもう一人の幼馴染み。ジルからは女の自分が一歩距離を置かれているとシャーロットは感じていた。そして唯一、その内側に入れるカイル。ライバルのようで親友のような関係。仲が良いが、どこか敵対して、それでいて認め合っている関係。女の自分が意見するとき、ジルはどこか”女”だからと言うゲタを履かせてくれる。簡単に言うと甘くなる。

 本当の意味でジルと対等に話をできるのはカイルと……そして、リリスではないかとシャーロットは思っていた。


「そう言えば、最近見ないね。でも、ジルはここに来ない事なんて珍しくないだろう。なにか公務で忙しいのかな? そのうちひょっこり出てくるだろう。それより、ハシーム王子を最近見ないけど、彼は何の為に留学しに来たのだろうね。学院にも出てこなくて」

「そうですわね。ただ、王子の船は港にあるみたいですから、お国へ帰ったわけではないみたいですけど……王子は学院寮にも入らず、リリスのように家を借りているわけでもなく、船から通っているらしいですわね」


 ただでさえ、異国の王子と目立つ存在。

 その私生活も噂の対象になる。

 生活習慣が違う。そのため、自分の船で生活している。


 ある意味、治外法権の場所。

 まあ、今はハシーム王子が何をしているのかは後回しだった。

 唯一の情報源と思われたカイルから何も得られなかったため、シャーロットはジルの家へ行きリリスの状況を聞くか、リリスの家へ直接行くか悩んでいた。


「何かあるなら、あのジルが素直に答えてくれるわけがないわね」


 シャーロットはお気に入りの扇子を口に当てて思案する。金髪の美しい縦ロールに貴族らしい服、豊満な胸の抜群のプロポーションはそれだけで絵になる。

 リリスの家に行く理由を見つけた。決して、マリウスに会いたいがために、行くのではない。ふわふわの黄金色の髪に愛らしい顔つき、そうかと思えば、どこか大人びた表情を見せる男の子。もう、一週間も会えていない。ああ、会いたい。ぎゅっとしたい。なでなでしたい。


 シャーロットはリリスの心配をしながらも、自分の性癖を満たす方法を取ることにした。その美しい姿とは相反する欲望に満ちたシャーロット。

 そんな邪な考えに罰が当たったのか、シャーロットがリリスの家を訪れたとき、マリウスの姿はそこにはなかった。

マリウス大好きシャーロットさん

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