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第39話 リリスの不登校

 お茶会の次の日も、その次の日もリリスは学院に現れなかった。

 それはリリスだけでなく、リリスの従者であるマリウスも現れなかった。

 そんな事態にジルは教室で不満を爆発させていた。


「なぜ、あいつは学院に来ない! もう三日だぞ!」

「風邪を引いたと、マリウス君が言っていましたが……先日のお茶会では元気だったのですのにね」


 不機嫌なジルに話しかけられるのは、教室の中でシャーロットくらいだった。

 二人は休み時間の教室でリリスの欠席について話をしていた。

 しかし、そこにシャーロットの陰に隠れるように話しかける声が一つ。


「初めてのお茶会に緊張して熱を出したのではないでしょうか?」


 カトリーヌが存在をアピールするために、ジルに話しかける。リリスをダシに相変わらずジルに近づこうとする。

 そして、その後ろから、リリスの親友のサリーが心配そうに話を聞いていた。

 ジルはカトリーヌをチラリと見て、興味がなさそうに視線をシャーロットに戻した。


「まあ、いい。今日の夕方にでも家に行ってみる」


 ジルはそう言うと、そのまま自分の席に戻ってしまった。


「でも、本当にどうしたのでしょうね」


 シャーロットも心配になって、独り言のようにつぶやく。


「そうですね。元気だけが取り柄そうな人と思ったのですが。もしかして、誘拐されていたりして……」


 カトリーヌはリリスの不幸がうれしそうに、意地悪そうな顔をする。


「まさか……誘拐するならもっとお金を持っていそうな人を狙うでしょう。馬車も使わずに移動している貴族なんて、誘拐してもお金にならないとすぐ分かるはずですのにね」

「それでは恨みが原因とか……」

「恨み……」


 シャーロットはカトリーヌの恨みという言葉に反応する。

 貴族であれば大なり小なり恨まれてもおかしくない。リリス個人に恨みが無くても、下手に庶民と近すぎるリリスが貴族全体に対する不満のはけ口として、どこかに連れ去られている可能性もある。


「恨みだなんて、リリスに限ってそんなことはないと思います。貴族としてはどうかと思いますが、リリスは庶民相手でも分け隔てなく接する優しい子です。先日だって平民の老人を助けて王子に怒られたくらいじゃないですか。そんな子がなんで恨みを買うのですか」


 身分が上とは言え、親友の事を悪く言われて、サリーは思わず反論した。

 いつも、にこやかに笑っているだけのサリーが声を荒らげた事にカトリーヌは思わず黙ってしまった。

 そしてシャーロットは少し考えて、首を横に振る。


「そうね、あの子が恨みで誘拐なんて縁起でもない」

「そうです。その上、あの日は家の近くまでわたしが馬車でお送りしました。誘拐なんて出来るはずがありません」


 シャーロットとサリーの反論でカトリーヌは分が悪いと感じたのか、話題をそらすことにした。


「そうですね。しかしそれにしても、ハシーム王子も今朝から見かけませんが、どうしたのでしょうか?」

「何かひどい流行病気でいなければ良いのですが……まあ、明日にはジルが様子を教えてくれるでしょう」


 シャーロットは病気であったコレットのことを思い出していた。あのときもシャーロットは何も知らされなかった。あの日、リリスが頼ってくれなければ、コレットは命を失っていたかもしれない。コレットの病気を知って、シャーロットにできることは何もないのかもしれない。しかしそれでも、お見舞いをして、コレットを元気づけることくらいはできたはずだ。何も知らされず、いつの間にか大事な人を失う恐怖。シャーロットはそんな恐怖にじわりと心を蝕まれていた。


「リリス。重病でなければ良いのですが……」


 シャーロットは教室から曇り空を見ながら、心の底からそう祈った。

リリス「ちょっと、この新作ゲーム面白すぎ! 学校なんて行ってられませんわ」

マリウス「おい! こら!」

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