18.『神士七雄』第七位 『流星』って誰?
『神士七雄』七番目。
それが更新されるのは10年ぶりということでちょっとした事件となった。
これは忙しくなるぞ!!
みんなにインタビューされちゃう!
と思っていたら、別に何もなかった。
しばらくそわそわしていたのに。
その原因は表記にあった。
第七位『流星』
そういえば、名前載ってない!!
むしろ、『これ誰だ?』ってなっていた。
なんで? なんで技名が字名になってるの!?
リースに聞いてみた。
彼はドラゴンと戦った後もずっとおれに付いてくるようになった。
目的はおれとのタイマン。
数年後のおれに期待しているらしい。常におれのそばにいるので最近は執事みたいになっている。大戦を経験し、暗黒大陸にも帝国にも詳しく、結構博識だ。
「『怪童』ではすぐに呼び名が変わるので、混乱を避けるための配慮でしょう」
「いらないよ!! というか、これって誰が決めてるんだ? ギルド? おれの必殺技リースが話したの?」
完成形の『流星』を見た者は極少数しかいない。
「いいえ。……冒険者ギルドには天啓を授かる聖職者がいるとか」
「それって、冒険者ギルドの運営は実質神々がしているってこと?」
「さぁ? 聞いてみればよろしいのでは?」
「え? 誰に?」
◇
おれは大きく成長した。それを冒険者ギルド、魔導連盟が認めた。
ということは、そろそろ師を越えててもおかしくないよね!!
システィナに不意打ちしてみた。
『流星』による回避不可避、包囲斉射。
光の束がメイドを呑み込んだ。
「や、やったか?」
「何が?」
当てたはず。
魔力の流れを呼んで当てたはず。
なのに、プラズマは彼女の周囲を焦がすのみだった。
「ず、ずるだ!! ずるした!!」
「してないよ」
まさか、全部剣で斬ったのか?
おかしい。
光の速度を見てから斬るのは無理だ。
迫るシスティナ。
覚えたての『障壁』を使った。
魔力の塊は彼女の剣を弾く。
「ドラゴンの法撃をも防いだこの防御がある限り、勝負はまだこれからだ!!」
はずだった。
衝撃だけ貫通してきた。
おれは一撃で吹っ飛んだ。
「くそ……たとえぼくを倒しても、第二、第三のロイドが必ず……」
「なにそれやだな。でも、強くなったんじゃない? 壁超えたねー!」
強さになんて意味ない。
だって、師との差が埋まった気がしないんだもの。
「さすが剣神ですな。今のは八卦、その前の技は気門法の応用ですか」
「そうだよ。気門法は奥が深い。極めれば剣を振らずに斬撃を放てる」
何でもありだなこの人。
絶対おかしいって。
「リースはこの人が神だって信じるんだ。メイドだよ?」
「以前、闘神と戦ったことがあるのです。負けてしまいましたが。はっはっは」
神と戦うって、ヤバい奴だな。
「闘神は素晴らしい神です。人の進歩は強さの追求であると教えられました」
「リース、どんな神を信仰するもあなたの自由だよ。でも、一番最高素晴らしいのはエリアス様ですから。愛と平和の神エリアス様こそ至高!! 絶対ね!!」
「はっはっは。平和は勝ち取るもの。それには強さが必要です。それこそ自然の摂理」
「いやいやいや、理性と慈しみの心こそ人の強み。人間の半分はやさしさでできてるんです」
リースとは分かり合えないようだ。
いや、おれはあきらめない。
エリアス様の素晴らしさに気付かせよう。それが彼のためだ。
そしておれの使命だ。
「ねぇ、ここに剣神がいるよ。ねぇ……」
そうだ。忘れてた。
「師匠、冒険者ギルドの運営って神様がしてるんですか?」
「ふーんだ。知りませーん。教えてあげませーん」




