我慢に我慢に我慢を重ねた日々
小説家になろう初投稿です。プロローグは少し短めですが次話からはもう少し長いです。温かい目でご覧ください。
俺は杉村優24歳!自分で言うのも何だがイケメンである!と、思う……。某エリート大学を出て、大企業に就職しバリバリ働いているぜ!こんな自己紹介文が頭の中に浮かんだ。
「何してんだろ俺……」
日付が変わった頃、外はもう真っ暗でオフィスには誰もいない。その中で一人残る俺は小さく呟いた。
「いやあ本当、就活中はめっちゃ良かったのになあ。蓋を開ければこんなにもブラック。そんな会社まだあったんだな」
しみじみと俺は言った。24歳独身もちろん彼女いない歴=年齢。ブラック企業で馬車馬のように毎日夜中まで働いている社畜の鏡である。これといった生きがいがある訳でもなく、稀にある休みはゲームと小説を読み漁る毎日である。
「ほんっと運ないよなあ俺」
そもそも何でこんな会社に就職したのか。それは俺が13歳の時に父親は蒸発し、そのショックから14歳で母も親戚の家に俺を預けて蒸発したからである。
預けられ先の親戚の家では冷遇される毎日。飯が出てこない時さえあった。高校ではどこから漏れたのか分からないが父にも母にも捨てられたと噂が広まり、スクールカースト上位の奴らに理由もなくいじめられた。奴ら曰く、お前のことを守る奴なんか誰もいねえよ!!だそうだ。
そんな状況だったため一刻も早く地元を去り、独り立ちしたく、高校卒業を機に地元を離れ一人暮らしを始め某エリート大学に進学。もちろん蒸発した両親や親戚からの援助なんてものはなく、朝から夕方までは大学に通い、夕方から夜中までバイトをし、学費やら食費やらを稼ぐ毎日だった。
そんな苦労の日々を我慢に我慢に我慢を重ねえて好成績を残し、大手企業に就職できた。これから俺の華やかな人生が幕を開けるぜ!と意気込んでいたが蓋を開けてみれば予想以上のブラックであった。ボーナスなんかは勿論ないね。
「あー疲れた早く家帰ろ。腹も減ったしコンビニにでも寄って何か買うか」
この時間になると何故か無性にお腹が減るので、ほぼ毎日コンビニに寄っている。
「お!唐揚げ弁当安売りしてるじゃん」
安売りで250円になった唐揚げ弁当にコーラを買い帰宅。
「こんなボロアパートでも愛着は湧くもんだなあ。さっさと飯食って寝よう、明日も6時から仕事だしな…」
今年で築40年である1DKのボロアパートに俺は住んでいる。
「ただいまー、ま誰もいないけどな」
誰もいない部屋に俺の虚しい独り言が響いた。部屋は綺麗でも汚くもなく、ちゃんと掃除できてるなぐらいの様相である。
早く飯食って風呂入って寝なきゃな、と思いつつもPCを起動させ小説を漁り始めてしまう。異世界物だったり恋愛物だったり文芸だったり様々なジャンルの小説をネットで探している。大体休みの日だったり仕事終わりは小説を読み漁ったり探したり、たまにゲームをしている。
「あ、やばい!もうこんな時間じゃねえか!あーやっぱ小説読んでると時間があっという間に過ぎるな」
時計の針は3時を示していた。気付いたら2時間近くも小説を読んでいた。つまらない毎日を送ってきた俺にとって楽しいこの時間はすごく早く感じられるものであった。すぐさまPCの電源を切り、これまたボロボロのしかし掃除は行き届き綺麗な状態の風呂に入り俺は眠りにつく準備をする。
明日の仕事を思い憂鬱になる。1日18時間労働なんかして労働基準法はどこに行ったんだという話である。いつまでこんな我慢を続ける日々が続くのだろうか、いっその事どっか知らない世界にいって自由気ままに行きたいな…と思いながら俺は深い眠りについた。意識が薄れていく中、可愛くも何処か厳かな女の子の声が聞こえた気がしたが気のせいだろうーーー