第68話「向井玲奈脳内緊急会議」
第68話「向井玲奈脳内緊急会議」
家に帰り、後片付けも食事も入浴も終え、今日の思い出に浸ろうとするれぃ。
ベッドの上で柳江からLINEが数件来ている事にようやく気付き、柳江からのメッセージ確認した。
れぃ「うんぎょぅえわぅわぁ〜〜!」
ジュラ紀か白亜紀か。
恐竜の鳴き声はこんな感じだったのではないかと思わせる声をれぃが上げる。
聡太「姉ちゃん、どうし……」
バン!ガチャ!
残像が見えそうな勢いで聡太が開けそうになった扉を強制的に閉め、鍵をかける。
そしてベッドに投げ出したスマホに恐る恐る視線を向ける。
れぃ『待て待て待て待て……。いったん落ち着け、あたし……。さっき見たのは錯覚か?幻覚か?それとも寝落ちそうになった瞬間見たうたかたの夢か?』
震える手でスマホを持ち、何度か躊躇した後、エイとばかりに画面をタップ。
液晶画面の輝度が戻り、画面が見れる状態になる。
れぃはそこからまた恐る恐るゆっくりと目を開ける。
ぼんやりした視界。
柳江からのメッセージは文字だけ。
自分が送ったのはスタンプ。
それは確認できた。
れぃ『さっき見た夢だと、あたしとんでもねぇスタンプを間違えて送ってた……』
既にれぃの中では、さっき見たスマホの画面は『悪い夢』と言う事になっている。
いや、そう信じようとしていた。
意を決し、自分が送ったスタンプを確認する。
「ちゅき〜♥」
れぃ「うんぎょぅえわぅわぁ〜〜!」
今度は「枕サイレンサー」を通したので、聡太や家族が飛んでくる事はない。
れぃ『え?何で?あたしグルキャナックの「よろしく頼んだぞ」のスタンプ送ったしなぃ!?』
とりあえずこの事実を認めたくないれぃは、この時の事を思い返す。
れぃ『何だよこのスマホ対応インナーグローブ!反応するだけで思い通りに操作できねぇじゃん』
そうだ。
スマホ対応インナーグローブをした状態でスマホを操作するのが初めてで、上手く操作できなかったんだった。
れぃ『え?でも、よりによってこのスタンプと間違えるか?』
急いでグルキャナックのスタンプ画面を確認する。
すると『よろしく頼んだぞ』のスタンプの一つ下に『ちゅき〜♥』のスタンプがあった。
顔面蒼白。
身体中のありとあらゆる所から冷たい汗が吹き出す。
れぃ『やらかしたぁ〜〜〜〜!こりゃ由々しき事態!由々しき事態だぞ!何としなくちゃ!そうだ!向井玲奈脳内緊急会議を招集する!』
向井玲奈脳内緊急会議とは、れぃの脳内で行われる会議である。
その会議に参加するのは、もちろん全て自分の意識なのだが、ありとあらゆる方向性における考え方をそれぞれ一つの人格として、脳内に設置された円卓に集め、問題解決の方法を導き出すものである。
議長玲奈「これより向井玲奈脳内緊急会議を始める。まず、状況の確認」
司会玲奈「報告しやす。本日、柳江からLINEを教えてくれて言われ、テンパった向井玲奈は誤って違うスタンプ……よりによって好意を示すようなスタンプを柳江に送ってしまったて言う状況でありやす」
冷静玲奈「スタンプの誤爆なんてよくある事じゃん。『間違えた』で済む話だらず?」
他力本願玲奈「そうそう。大騒ぎするような話じゃねぇじゃん」
慎重玲奈「実際にそのスタンプに対しての柳江の反応はどうだったんだ?まずはそれをしっかりと確認すべきと思うが?」
議長玲奈「慎重玲奈の意見は正しい。問題を解決するには正しい現状把握が必須と考える」
ポジティブ玲奈「案外、そのスタンプ見て笑い取れてたりするんじゃねぇの〜?」
議長玲奈「よし。スタンプに対しての返信を読む事を向井玲奈本体に命じる」
脳内の議長玲奈に命じられ、れぃは恐る恐る続きを読む。
「さっきは告白してくれてありがとう。突然の事で、返事する時、向井さんがコスプレしている時なのに苗字で呼んでしまって申し訳ない」
「本当は俺の方から告白しようと思ってたけど、先に向井さんから気持ちを聞かせてもらった」
「だからせめてお付き合いの申し出は俺からさせて下さい。好きです。俺と付き合って下さい」
「返事は今日じゃなくていいです。明日の放課後4時に裏門の所で待ってるんで、そこで返事を聞かせて下さい」
れぃ「うんぎょぅえわぅわぁ〜〜!」
今日は枕サイレンサーが大活躍である。
れぃ『まずいまずいまずいまずい!ってかあの時の『俺も』ってそう言う意味だったんか!ヤバいヤバいヤバいヤバい!今さら誤爆でしたとか言えねぇ!……ってか、今までのあたしのキャラと真逆のキャラじゃん!無表情無感情ジト目陰キャがいきなり『ちゅき〜♥』って何じゃん!どんなツンデレじゃん!』
議長玲奈「諸君、事態は最悪と言わざるを得ない」
怒り玲奈「ちょっ!おかしいだらず!いつもの向井玲奈が『ちゅき〜♥』って!それをマジな告白と受け取るヤツがいるか?」
冷静玲奈「柳江は朴念仁なんじゃん……我々が思ってる以上に……」
ポジティブ玲奈「朴念仁で恋愛慣れしてねぇから『ちゅき〜♥』で本気になったってか?」
慎重玲奈「案外したたかに、渡りに船的に告白のキッカケに柳江がこの状況を利用した……とは考えられねぇだらずか?」
怒り玲奈「素だらずがボケだらずが、状況は変わんねぇだらずが!」
黒玲奈「我々はこの絶対的状況を作り出したドジまぬ玲奈の責任を追及する」
ドジまぬ玲奈「ごめんなさ〜い!!」
冷静玲奈「責任を追及した所でドジまぬ玲奈も私も諸君も全て向井玲奈だ。状況は何も変わらんよ」
黒玲奈「いや……ちょっと待て。案外良い手かも知れねぇぞ」
議長玲奈「どう言う事だ?説明したまえ、黒玲奈」
黒玲奈「誤爆した事は謝るとして、早とちりして突っ走ったのは柳江じゃん。そだからこのスタンプを見て、これが向井玲奈の本心か確認せず突っ走った柳江に全ての責任を負わせるって事よ」
白玲奈「そりゃあまりにも悪どいと思いやす!ハプニングがあったとは言え、柳江は真摯に向井玲奈に気持ちを伝えて来たじゃありませんか!」
怒り玲奈「だったらどうすんだよ!」
議長玲奈「まぁ落ち着きたまえ。ここはどうすべきか、本心玲奈の意見を聞くべきではないかと私は思う。どうかね?本心玲奈」
本心玲奈「……困る……」
怒り玲奈「っざけんな!ここにいる全員が困ってんだよ!」
本心玲奈「いや、だってさ……あたしが告白した訳じゃねぇのに告白した事になってて、それでいて何の予告も無しに逆告白されてさ……んで付き合うどうの……って話になってんじゃん。困らねぇ訳ねぇよ」
全員「「だよなぁ〜……」」
慎重玲奈「ここはひとつ引き伸ばし作戦に出てはどうでしょう?明日返事を聞かせて欲しいて言っているのは柳江であって、明日返事するとは向井玲奈は言ってない。そだから返事はもう少し待って欲しいて返すのです」
黒玲奈「んで、引き伸ばしに引き伸ばしてうやむやに……ってか?そりゃそれで案外こすいとあたしは思うけどね」
他力本願玲奈「スタンプは誤爆!別に柳江の事は好きじゃねぇ!そだから付き合わねぇ!って返せば何とかなるんじゃね?」
本心玲奈「いや、そりゃちょっと……」
怒り玲奈「待て待て待て、『そりやちょっと』って何だ?そんなに良い子ぶりたいんか?」
冷静玲奈「それともこの状況を本心玲奈はチャンス……と、捉えてるのか?」
本心玲奈「わかんねぇ」
怒り玲奈「わかんねぇじゃねぇんだよ!」
ポジティブ玲奈「じゃあ逆に付き合ってしまえばいいじゃん。付き合ってから、やっぱ違いましたって別れたらいいんだし。案外上手く行くかもしんねぇじゃん」
冷静玲奈「なるほど。そうすればこちらの誤爆も誤爆したて言う事になりませんし、柳江の面子を潰す事にもなりませんね」
他力本願玲奈「いっそ、ゆきかまみに何とかしてもらったら〜?」
怒り玲奈「バカやろぅ!ゆきもまみもこの件についてはポンコツだってこの前確定したじゃねぇか!」
他力本願玲奈「じゃあ、ののこさんか美紅里ちゃんに何とかしてもらえば?」
冷静玲奈「アドバイスはくれるかも知れねぇけど、結局は自分で何とかしなくちゃならんでしょうね」
議長玲奈「冷静玲奈、これまでの会議で出た意見から最適解は見つかりそうか?」
冷静玲奈「ダメでだなぃ。本心玲奈の気持ちがこの件の重要なファクターなのだが、そこがどうにも曖昧過ぎて……」
怒り玲奈「だ、そうだぜ、本心玲奈!ハッキリさせろや!」
本心玲奈「わかんねぇもんはわかんねぇんじゃん」
冷静玲奈「総合的に考えるから判らねぇのでは?」
議長玲奈「総合的に考えねぇと言うのは具体的にどう言う事だ?」
冷静玲奈「では本心玲奈。シンプルな質問をするわ。あなたは柳江が好き?嫌い?」
本心玲奈「……あなたもあたしも向井玲奈なら聞かんでもわかるだらず……」
冷静玲奈「つまり……」
本心玲奈「あー!言うな!言ったらダメ!」
慎重玲奈「その件については、あたしが補足説明させて頂く。本心玲奈も『その気持ちで正しいのか』未だ判断付かねぇ状態だ」
冷静玲奈「言えばそれが本当になってしまう。そしてそれが間違いだった時が怖い」
他力本願玲奈「人の気持ちなんて何かひとつのキッカケで真逆になったりするもんだらず。今の気持ちで行動を決定すればいいじゃねぇか」
ネガティブ玲奈「……ちょっといいか?みんななんだかんだ舞い上がってんじゃねぇか?もし、付き合うとかそう言う事になったら、これまでと色々変わってくるぞ。ゆきとまみとの関係とか……」
黒玲奈「そうだぞ。学校での向井玲奈のキャラ考えろ。無表情、無感情のジト目陰キャが彼氏持ちだぞ?わかってんのか?」
他力本願玲奈「これを期にキャラ変すりゃいいじゃん」
ネガティブ玲奈「バカやろぅ!このキャラが向井玲奈にとって都合良かったからこのキャラで居たんじゃねぇか!これで彼氏できてキャラ変して、その後別れたらもう今のキャラには戻れねぇぞ」
冷静玲奈「それよりゆきとまみとの関係がおかしくならねぇかがあたしはシンペぇだ」
ポジティブ玲奈「あの二人なら大丈夫!今までの付き合いでわかるじゃん!」
ネガティブ玲奈「……でも、人見知りのまみがいるんだぞ。柳江が側にいたらまみ、寄って来なくなるんじゃね?……」
議長玲奈「冷静玲奈、どう見るかね?」
冷静玲奈「まみの人見知りは改善されつつあると分析しやす。荒療治とは言いたくありませんが、人見知りのまみも柳江との接触の機会が増えりゃ慣れて行く可能性は十分にありやす。しかしまみは人見知りモードになったら、スッと居なくなるのは今も変わらねぇ」
ドジまぬ玲奈「あの〜……そろそろ脳が疲れてきたみたいなんで、今日はもう寝て明日考えるのがいいと思いやす」
怒り玲奈「バカやろっ!誰のせいでこうなったと思ってんだ!」
ドジまぬ玲奈「ごめんなさ〜い!」
冷静玲奈「いや、ドジまぬ玲奈が今回やらかした事は事実だが、柳江からのメッセージの文面を見る限り、この問題は早かれ遅かれ発生してたと思うぞ」
怒り玲奈「だが、安易に断りにくい状況にしたのはスタンプの誤爆のせいだらず!」
ネガティブ玲奈「……確かにあの誤爆のせいで逃げれなくなったのは確か……」
ポジティブ玲奈「でも……仮に……仮にじゃん?誤爆が無く、柳江からのアプローチも無く、それでいて向井玲奈が自分の気持ちに正直になって……ってなった時、向井玲奈が自分から告白しに行くとは思えねぇのよ、あたしは。そう考えたらこりゃ千載一遇のチャンスなんじゃねぇ?」
本心玲奈「自分の気持ちに素直にとか言うな〜」
ドジまぬ玲奈「サラッと本心暴露されてて草」
怒り玲奈「笑ってんじゃねぇ!」
ドジまぬ玲奈「ごめっ!」
ポジティブ玲奈「じゃあ話は早いじゃん。とりあえずOKって方向で話進めて……」
ひねく玲奈「あー、ちょっといいか?そもそも柳江のどこがいいわけ?」
一同、黙る。
議長玲奈「あー、本心玲奈。この質問に対する回答をするように」
本心玲奈「いや、だから好きかどうかわかんねぇんだって」
冷静玲奈「自分の気持ちに素直に……って言ってんじゃん」
本心玲奈「そだから、好きかどうかはわかんねぇけど、嫌いじゃねぇって言うか、印象良いと言うか……」
ポジティブ玲奈「それ、好きって事じゃん」
怒り玲奈「うっせぇ!だぁってろ!」
議長玲奈「そもそも気持ちが動いたキッカケは?」
本心玲奈「やっぱり、あの魅力的って言われた一件ではねぇかと……」
ひねく玲奈「それだけ?チョロ過ぎね?」
本心玲奈「でも!あたしは今まで男子に好かれようとかいっさら思って無かったし、そだから無表情無感情ジト目陰キャをやってた訳だし……それでも魅力的って言ってもらえて……なんかあたしの内面までちゃんと見てくれたような気がして……」
冷静玲奈「じゃあ柳江は無表情無感情ジト目陰キャの向井玲奈でもいいって事じゃんね?だったらキャラ変する必要無くねぇ?」
他力本願玲奈「キャラ変とか考えるからややこしくなるんじゃね?付き合ってキャラが変わったら変わっただし、今までのキャラのままでいいならそれでいいんじゃね?」
慎重玲奈「でも、それで柳江は納得するのか?……ってのを気にしてるんだらず」
怒り玲奈「あ?いつから向井玲奈は人の顔色見ながら性格とか態度を変える『八方美人キャラ』になったんだ?」
ポジティブ玲奈「良い事言った!そうだよ、我が道を行くのが向井玲奈だ!」
ネガティブ玲奈「……でもそれって周りから拒絶されるのに対する事前防御策じゃん。あたしはこんなだから人から理解されんで当然……って事にしてんだらず?……」
他力本願玲奈「最近はゆきやまみと仲良くなって、無表情無感情ジト目陰キャってキャラも崩壊しつつあんじゃん。既にキャラ崩壊してんならどーだって良いじゃん」
ネガティブ玲奈「……その大切な友達のまみに話が及ぶ可能性があるから付き合う云々がややこしくなってるんじゃねぇのか?……」
ポジティブ玲奈「大丈夫大丈夫!まみに人見知り改善のチャンス到来と考えればいいじゃん!」
ドジまぬ玲奈「ドジでまぬけでも♪あたしはあたし♪どんな事でもかかって来いっ!あたしの魔力でちょちょいのチョイ!♪」
怒り玲奈「だぁらうるせぇつってんだ!向井玲奈には魔力はねぇ!」
ドジまぬ玲奈「ごめんなさ〜い!」
冷静玲奈「え〜……、ポジティブ玲奈により向井玲奈の本心が暴露されてしまった事により、少し情報が纏まって来ました。お話ししてよろしいだらずか?」
議長玲奈「お願いしやす」
冷静玲奈「向井玲奈は基本的には柳江にたいして好意的。これがまだ『好き』て言う感情であるかは本人もまだ自信がねぇ。ここまでは合ってるか?」
一同無言で頷く。
冷静玲奈「故に交際してみてもいいて言う感情はありやすが、それに伴うリスクを恐れて決心でねぇでいる」
今の所、反論は無い。
冷静玲奈「そのリスクは以下の3点。
1、付き合う事により向井玲奈のキャラが変わってしまうリスク
2、付き合う事によりゆきやまみとの関係性が変わってしまうリスク
3、そもそも付き合うて言う事がどう言う事がわからねぇから漠然とした不安」
ネガティブ玲奈「……それだよ。付き合うって何すんだ?……」
ポジティブ玲奈「そりゃおめぇ、手ぇ繋いだり……」
ネガティブ玲奈「……何で?……」
ポジティブ玲奈「何でって……何でだらず?」
冷静玲奈「一般的にはデートしたりするしないだか」
ネガティブ玲奈「……デートって何すんの?……」
冷静玲奈「今までに得た知識だと、一緒に遊びに行ったり、食事したり、一緒に学校帰ったり……」
ひねく玲奈「ゆき達と行った方が楽しいんじゃね?」
冷静玲奈「それはやってみねぇ事にはわかんねぇじゃん」
ネガティブ玲奈「……あとは?……」
ドジまぬ玲奈「交際進んだらキスとかするしなぃ〜」
怒り玲奈「できるかぁ〜〜〜!」
他力本願玲奈「付き合い方とか柳江に任せりゃいいじゃん」
白玲奈「お互い好き同士なら何でも楽しくなんじゃねぇかな」
黒玲奈「結局『付き合う』がどう言う物かもわかってねぇのに付き合うかどうか判断しようっのがそもそも間違いなんじゃん」
ネガティブ玲奈「……今のキャラでデートでキャッキャウフフはありえねぇからな……」
他力本願玲奈「そりゃキャラを崩さねぇようにしたらの話だらず?楽しくて、その結果キャッキャウフフになったらなったじゃねぇか。ゆき達とスノボ行ったりした時だって頻繁にキャラ崩壊してんだから」
ネガティブ玲奈「……だから柳江が無表情無感情ジト目陰キャの向井玲奈を好きだったら、キャラ崩壊した時点で関係も崩壊するかも知れねぇじゃん……」
ポジティブ玲奈「だったら確かめるしかねぇじゃん」
冷静玲奈「そうだな。柳江が何の目的で向井玲奈と交際しようとしてるかの情報が足りねぇ」
ひねく玲奈「そうだな。最悪、向井玲奈の体が目的かも知れねぇしな」
怒り玲奈「向井玲奈みたいなチビで貧乳、幼児体型に重要なんてあるか!」
黒玲奈「いや、わかんねぇぞ。世の中には貧乳好きもいるって聞くし」
白玲奈「柳江は朴念仁だけど純粋な人だと思うから、体目当ては無ぇと思う」
ひねく玲奈「それ、全部予想ってか、そうだったらいいな的な話じゃん」
冷静玲奈「『体目当て』は行き過ぎとしても、柳江は何故もしくは向井玲奈のどこを好きになったかはっきりさせる必要はあると思う」
慎重玲奈「賛成だ。こりゃ二人の問題だから一人で考えても答えは出ねぇと思いやす」
玲奈玲奈「こちらが撒いた種でもあるし、事が動き出してしまった以上、不本意だが無かった事にはできねぇ。柳江の話を聞いて判断する他無ぇと考えやす」
ネガティブ玲奈「……話を聞くだけなら今までのキャラで行けるな。話を聞く際、向井玲奈には今までのスタンスを守ってもらうて言う事で……」
ポジティブ玲奈「話聞いて、あとはそん時のノリっしょ」
議長玲奈「え〜、では方向性としては現時点では付き合う付き合わねぇを決めず、明日柳江から話を聞いてからその場で判断する……て言う事でよろしいだらずか?」
ネガティブ玲奈「……待ってくれ。向井玲奈が『付き合う』と言う事がどう言う事か解ってねぇ状態で、柳江の話を聞いて判断できるのか?……」
他力本願玲奈「柳江にどう向き合いてぇか、付き合って何がしてぇか聞いて判断すりゃいいじゃん」
白玲奈「話を聞きに行って判断するにしても、どんな感じで聞きにいくおつもりか?向井玲奈の性格を考えると、無駄にケンカ腰で行きそうな気がしてならねぇのだが」
他力本願玲奈「それも柳江次第だろ」
怒り玲奈「あたしは誤爆を真に受けやがって……って気持ちはあるぞ。めんどくせぇ展開にしやがって」
司会玲奈「怒り玲奈、話を蒸し返さねぇで下さい」
ひねく玲奈「いや、怒り玲奈の考え方は本体に影響与えるぞ。そもそも向井玲奈は『やんのか』オーラ出してるキャラだからな」
本心玲奈「じゃあどんな顔して行けばいいんだ?」
ドジまぬ玲奈「『待たせたな、さて、話を聞こうじゃないか』って上から目線で行ったらグルキャナックちゃんっぽくて良いと思いや〜す」
黒玲奈「バカか。明日は素顔で制服だぞ」
ネガティブ玲奈「……下手に意識して新たなキャラ作ったら余計におかしくなるぞ……」
白玲奈「どんな顔とか気にせず、いつも通りの向井玲奈で行けばいいんじゃん」
本心玲奈「『いつも通り』ができる気がしねぇ」
怒り玲奈「だからて言って何かキャラを演じながら話聞きに行く度胸も余裕も演技力もねぇだらず。向井玲奈は基本的にビビリでチキンなんだからよ」
他力本願玲奈「スイッチ入ったら強いんだけどな」
冷静玲奈「そのスイッチは自分や大切な人に危害が及ぶ時にのみ発揮されるようなので、今回はそのスイッチに期待できませんね」
ひねく玲奈「あたしは直前にビビって逃げ出さねぇかをシンペェしてる」
ネガティブ玲奈「……大いにありえるな……」
他力本願玲奈「ところでまみの人見知り対策の話はどうなったんだ?」
冷静玲奈「その件は『付き合うかどうか』を判断する材料にしてはいけねぇ気がして来ました」
ネガティブ玲奈「……何で?大事な事じゃん……」
本心玲奈「あたしもまみの人見知りを理由に付き合うかどうかを決めるのはこすい気がしてきた」
議長玲奈「向井玲奈が友人との関係性を重要視している事は間違いねぇと思うのだが?」
黒玲奈「まみの事が『理由』ならいいんじゃん。まみの事を『言い訳』にしてる事に気付いたんだらず」
怒り玲奈「それなら確かにこすいな」
冷静玲奈「それにまみも自分を理由に、いや、言い訳に交際を断ったと知ったら、まみはどう思うかな」
黒玲奈「怒ると言うより、まみなら変に責任を感じるだらずな」
他力本願玲奈「まみの事は付き合うって事になってから、付き合い方の話の時に盛り込みゃいいじゃん」
白玲奈「そうだなぃ。それが筋だと思いやす」
議長玲奈「よし、あらかた方向性は決まったな。まとめると、まずは『いつも通り』の雰囲気で会いに行き、柳江の話を聞いた上で交際するかどうか判断。交際する事になったら、柳江と交際の仕方について相談し、ゆきやまみに影響を与えねぇ、関係性が崩れねぇ交際の方法を考える……と」
れぃ「脳内のみんな、ありが……ん?ちょっと待て。これ、何も決まってねぇんじゃねぇか?」
議長玲奈「頑張れ、玲奈」
怒り玲奈「ぶちかましたれ、玲奈」
冷静玲奈「健闘を祈りやす、玲奈」
他力本願玲奈「案ずるより産むが易しじゃん!玲奈!」
ドジまぬ玲奈「ふぁいとー!玲奈ー!」
ひねく玲奈「死にゃあしねぇから安心しろ、玲奈」
ポジティブ玲奈「何とかなるって、玲奈!」
黒玲奈「骨は拾ってやるぞ、玲奈」
白玲奈「応援してるよ!玲奈!」
ネガティブ玲奈「……これ以上やらかすなよ、玲奈」
司会玲奈「吉報をお待ちしてますよ、玲奈」
本心玲奈「成せば成るだよ!玲奈!」
母親「そろそろ起きな!玲奈!」
れぃ「は?」
母親「もう起きねぇと遅刻するだらず……って、どうしただ?あんた、その隈……」
れぃ「考え事してたら一睡もできんかった……」
母親「あんた酷い顔してるわよ」
れぃ「学校休む」
母親「10代の一番元気な時に一晩寝ねぇくらいどって事ねぇわよ!バカな事言ってねぇで顔洗って学校行きな!」
そしてれぃの地獄の一日が始まる。




