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よりによって転生とは。④

もう少し家族話が続きます。

一応他にも書きたい話があるんですが時間がねえっ!↑

とりあえず毎日更新目指して頑張ります。

俺はタゴン。この異世界(ケイオス)に生きるどこにでもいる(嘘)転生者(サハギン)だ。


俺の正面に座ってるのは俺の親父殿で我がイースト家の大黒柱、ハング。

テーブルから零れんばかり(あ。床に何個かもう落ちてたわ)に積みあがったあるモノを信じられないような顔で凝視している。


その隣に座っているのが俺のお袋、カナン。シトリーは母親似だと誰もが納得するほどの美魔女。

というかシトリーと同じカワウソ系(この世界にカワウソがいるかわからないのであくまでの呼称)の水棲獣人(シービースト)だと思うけど、あまりにも見た目が若すぎるっ!

幼少のみぎり、その夫であるハングに自分の母親の年齢を尋ねたことがあるのだが…

『…そ、そんなことは、もう2度と聞くんじゃあないぞ? お前の為に言ってるんだからな』

俺は生まれて始めて自分の父親の真剣な表情を見た。

そんな俺の母親がひとりだけ表情を変えずに微笑んでいる。怖い。


そして恐らく俺の家族の中で一番博識で常識人、俺の兄貴の青年学者で薬草医のタウゴサーク。

笑みが凍りついている。なんとかフォローしてくれないかな? 頼むよー。


最後に俺の席にぴったりとくっついていた俺の小さな姉、シトリー。

流石にいつもはしゃいでる彼女もどういう状況か飲み込めないのか、先ほどからテーブルの下で俺の手をしきりに引っ張ってくる。ちょっとやめて。


俺は最近流行りの無意識系ぶっとび異世界転生ラッキー主人公などでは決してない。


『謙虚に振る舞え』


どこかの偉い人がそう言っていたように俺は自身の溢れるオーバースペックぎみでお腹いっぱいの潜在能力を出し惜しんでっ!惜しんで!ちょっと出してから惜しんで惜しみ倒して14になるまで生きてきたのだっ!


それなのに。



~ちょっと時を戻そう~



俺とシトリーは既に温かな食事が用意されはじめたテーブルの自分たちの席についた。


「お母さん!私も手伝う?」


シトリーが元気よく左腕を振り上げる。

ちなみ俺の手は相変わらず掴まれたままなので、俺の右腕もやる気なく持ち上がっている。


「大丈夫よ。もうコレ並べて終わりだから」


お袋は機嫌が良さそうだ。兄貴が数日ぶりに家に帰ってきたからだろう。


「あの人も今日は早く帰ってくるって言ってたしね」


あの人とは俺の親父殿のことだ。

ハングオン・イースト。俺たちが住むフォー・リバー東区の衛兵隊長だ。

衛兵とは国の(つわもの)であり前世界での警察のような存在である。地位は公務員以上の扱いで、もちろんその職種に就くことが一般市民としては名誉であるとされている。

さらに親父殿はエリートと言われる1番隊の隊長だ。サシの戦闘ではいまだ勝てる気がしない。

俺が生まれた時に、首長から家名である《イースト》を授与されたが、未だに『息子の威光にあやかったのだ』などと影口を叩く無礼な奴がいるのだ。まあ恐らく最近流れてきた南区か西区のチンピラのような奴らくらいだろうが。

そもそも俺が生まれずとも、フォー・リバーの東の英雄ハングは家名を授与される以上の賞与は既に決まったことであったのだ。

俺たち家族にとって親父殿が誇りであることは今後も変わらないしな。


さてそんなことを目を閉じて思いにふけっていると、玄関の扉が開いてズカズカと家に入ってくるものがいた。


「たっだいまー! 俺の可愛い愛娘のシトリー。そして自慢の息子のひとり、ジョンタウロ(・・・・・・)君っ!」


その誇りが帰ってきた。

アレ? 思ったよりも恰好良くないオッサンだなあ。


「おとーさんお帰りー!アレ? なんかお酒臭いよ?」


「いや帰りがけに酒屋の好青年がな?試飲の試供品ですが、ってくれたんだよ。ほら」


そういって最近売り出した記憶のある変な魚の絵が描かれたスパイスワインの瓶を見せる。


「…ハング。今日はタウゴが帰ってくるって一昨曜(おととい)から言ってるわよね?」


「ご、ごめんなさい…」


イースト家の大黒柱にして誇りである親父殿はションボリする。


今更ではあるが、俺のフルネームはタゴン=ジョンタウロ・イーストだ。

ジョンタウロは親父がお袋と神殿関係者に泣きついてまで名付けた俺の名だ。

いわゆるミドルネーム?みたいなもんか。別に無理に名乗らなくてもいいとお袋からは教えられた。

ちなみに、俺をジョンタウロと呼ぶのは親父殿だけである。


そんないつものやり取りをしている内に賑やかな夕食が始まった。

すぐに兄貴も自分の部屋から出てきて、誇り高い親父殿に例の新商品をグラスに注がれている。


今日は俺の好物が食卓に出されたので大いに俺は満足していた。異世界(フォー・リバー)のご当地グルメ、水饅頭だ。これは瑞々しい触感が癖になる肉まんと水羊羹(ゼリー)がジョグ〇ス進化したような料理で大変に美味なのだ。

バリエーションも豊富で、この間シトリーとスイーツ水饅頭を食べにいってきたのも記憶に新しい。


俺が夢中で水饅頭を両手に持って貪っていると、シトリーが「ホント可愛い」とか言いながらうっとりとした表情で俺にべったりとくっついている。

ブラコンじゃあないのか? 前世の記憶(イッパンジョウシキ)を持つ俺はちょっと心配になる。



「そうか。南区の物件に決まったのか」


ハングはそう言ってグラスに残りのワインを注いだ。


「うん。商人ギルドが安く斡旋してくれるって話に落ち着いたんだ」


タウゴサークは自分の手をナプキンで拭うとギルドの紹介状をハングに手渡す。


「まあ無理はするなよ? 貴族街から離れちゃあいるし、ガラの悪い右区でもない。変な輩に絡まれることはなさそーだがな、っと」


大して面白くもなさそうに紹介状を眺めてからハングはそれを丸めてタウゴサークに放った。


「努力してみるよ」そう言ってタウゴサークは同じく食卓を囲っている自分の妹弟の方を見る。


向いのシトリーは寂しそうだが、どこか仕方ないという表情をしていた。


その隣に座る歳が離れている割にはタウゴサークよりも大柄な弟も似たような表情を浮かべて手に持った饅頭を咀嚼している。


「タウゴは今後とも忙しくなるだろう。仕方ないことだな! あ、でもシーちゃんはずうっっと!ジョン太郎は嫁さん貰うまで家に居ていいからなっ」


タゴンは『ジョン太郎じゃない。ジョンタウロだろ?アンタが名付け親だろ』と言葉にしなくてもわかるくらいムスっとした表情をした。


束の間、食卓に笑い声が咲いた。


「ところで」


カナンが追加のワインを棚から持ってきたところだった。


タゴン(・・・) に聞きたいことがあるんだ」


緊張が走る。

ハングは家族に対してはお調子者で優し過ぎるくらいの父親であったが、そこは衛兵隊長である。

無論、必要なときにはそれ相応の厳しさを持っていた。


「今日、父さんギルドの上役に急に呼び出されてな… 年俸でも上げてくれるのかと出向いてみたんだがな」


そう言って羊皮紙を数枚取り出してテーブルに並べた。


「色々と聞いてくれないか頼まれてしまってな」


その顔はかつて息子に妻の年齢を尋ねられた時に匹敵するほどの真剣な表情をしていた。

あ~ららw

可愛いなあ… タゴン君(ねっとりとした声で)

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