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よりによって接待とは。②


今日は久々の平日休み。

ぶっちゃけ何かする予定もないので久々の更新です。


せめて全てのヒロインを登場させるまでは…!!


はうぁ。 …じゃあなかった!


漁師ギルドの現ギルド長、スカーレット・ハープーンが俺を次のギルド長にすると言い出した。しかも自分はギルド長の座を降りると。今。しかもギルドの皆の前で?!


おい!スカーレットっ?!


俺はよほど動揺していたのか、咄嗟に隣にいたスカーレットを抱え上げると聴衆の面々に背中を向けて空中に跳んだ。スキル【世界泳ぐ者パーフェクト・スイマー】を使用して空中を立ち泳ぎして、自分でも気づいたら帆船のマストよりも高い位置まで逃げていた。

何故か背後から女職員の黄色い悲鳴と野太い男たちの悲鳴が聞こえたが。


スカー!説明しろっ。なんで急にあんな事を言ったんだよ?


だがスカーレットは俺の腕の中でブルブルと震えていた。彼女の美しい真紅と白の肌がピンク色に染まり、境界線があやふやになりつつある。

スカーの奴、高いところが苦手だったのか? …仕方ない。


俺は帆船に誰も乗っていないことを確認し、マストの見張り台に降りると、スカーレットを立たせた。

俺はエラを閉じると息を吐いた。


「…悪かったよ。でもお前が皆の前でギルド長を辞めるとか、急に言い出すから」

「…ご、ゴメンナサイ」


…? 今日は随分としおらしい。もしや別人なのか?


「で、でも!アタイが、ああでも言わないとさ…」


何で?

スカーレットはモジモジとしながら、

「…タゴンが別のギルドに就職しちゃうかと思って…」


へ? 俺が他のギルドに取られるかと思ってあんなこと言ったの?

あのさぁ、俺がそんな無責任な男に見えるのかね?

それに急にそんな事言ったって他のギルド長が許してくれるわけないだろ~。

俺が成人(15歳)したら5全節(5年間)もの間、各ギルドをたらい回しにされることが決まってしまっているのだ。それだけでも俺の自由がないのに数曜後(数日後)にはふたつの邦からそれぞれやってくる姫様(内ひとりは世界最恐)の相手をせねばならんのだよ?

…俺、なんか悪いことしたっけ? 地平線に沈んでいく太陽(ルーク)が目に沁みるぜ。


それにさ、コイツだってギルドでの研修期間は知ってるはずだ。大女神の節は漁師ギルドの担当、もとい現在のバイトのように仕事に参加することも。


ということで俺が漁師ギルドのギルド長になるのは無理だ。パスっ!

だからスカーレットがギルド長を降りるのも無しだ。…ぶっちゃけた話、ギルドには年季の入ったベテランがいるにはいるが…スカーレット以外で現状の漁師ギルドを仕切るのは難しいだろう。なんせ、漁師の荒くれ共はスカーレットの人気によって制御されているところが大きいからだ。

まあ、当の本人はそんな計算なんてしてないだろうがな。


「でも、でもさ!…アタイだって、その子供ができたりしたらギルドや仕事にずっとでづっぱるのは流石に無理だろう?」


子供? …子供?! ま、まさか…スカー。お前…!


「ちょっと!タゴン、アンタ変なこと考えてるだろっ!違うからねっ」


という事はだ。スカーレットは近い内に身を固める気らしい。

そうかそうか!イヤ~、お前が結婚とはねぇ…。

まあ美人だし、その全身凶器のぱっつんぱっつんのボディラインだ。今迄に散々誘いはあるだろう。

しかし、相手は誰なんだ? コイツ、仕事バカだし漁師ギルドの誰かか…。

スカーは何でそいつの求婚を受けたんだ?


「え。だ、だって漁師ギルドの将来を考えたらその選択肢以外ありえないだろう!」


ほーん。そんな有能な奴がいるのか。まあ、俺の知ってる漁師なんてたかが知れてる。きっと影からこのギルドを支えてきた凄腕が居るのだろう。

なんせ、このスカーレットが認める輩だ。俺が口を挟むことなどないだろう。

何にせよめでたいことだ!俺だってスカーには世話になってる。祝福の言葉くらい口にだすさ。


「…そ!そうか!アンタも賛成してくれるんだね!?…よ、よっかたぁ」


しかしだ!下の混乱を治める為に、自身のギルド長辞職の撤回はして貰うぞ。

俺が漁師ギルドの長になったなんてことが公になれば他のギルド長が駆けつけてくるだろうことは必然的だ。


「むぅ…。仕方ないね」


俺はまたスカーレットを抱え上げると空へと飛んだ。何故かスカーが俺の首に手を回し、先ほどよりも顔を俺の胸におもっきし押し付ける。ついでに破壊力抜群の2連装ミサイルもムギュムギュ押し付けられとてもコンセントレーションが乱される。


しかし、些末ながら相手は誰なんだろう? きっとバレたらギルドの男どもに殺されかねないな。

だからこそ俺を隠れ蓑にしようとしたんだろうがな。

…テューンの奴、きっと落ち込むだろうな。アイツ、ロディがいるくせにスカーにやたら惚れてるところあるからなぁ~。


俺達が壇上に降り立つと騒ぎはより大きくなった。俺はスカーレットを肘で軽くつつき発言を促す。


「…わかったってば。んんっ!皆っ!さっきは混乱させるようなことを言ってすまなかったね!…少しアタイの考えが浅かったようだ。アタイのギルド長の座を辞する言葉は撤回させておくれ!」


スカーレットの言葉を受けて皆、目に見えて安堵の表情を浮かべた。中には泣いて喜ぶ者すらいた。


「皆はまだ知らないだろうが、うちらの稼ぎの筆頭であるタゴンがこれから5全節の間…よそのギルドで研修を受けることになった!基本、大女神の節しか漁師ギルドには顔を出せなくなる。皆、これまでタゴンに頼ってた分しっかりやっておくれっ!頼むよっ」


俺のギルド研修の話を聞いて漁師ギルドの面々が俺に言葉を投げかける。


「そうか頑張れよー!」

「しかし、タゴンがいないとなると…厳しいなぁ」

「なにベテランの踏ん張りどころだろーが」

「しかし5全節とは…そうとうギルド本部で揉めやがったんだぜ?」

「違げーねぇ!災難だなぁ、タゴンも。ガハハ!」


はあ、本当に5前節は長すぎるだろ。全部終わったら俺、もうハタチよ?


俺は話はこれで終わりかと思い、皆を解散させようと檀上を降りようかと思ったのだが…

「ちょっと待ってくれ、皆」


スカーレットが俺とギルドの連中を呼び止める。


「今日、皆を呼んだのはこれを伝える為だけじゃあないんだ…!」


俺はまだ何かあるのかと首を傾げる。他の連中も同様だ。


「…ついさっき本人の許しも得たっ!母君であるカナン様の挨拶も済ませた。皆、喜べ!これで漁師ギルドはむこう百節は盤石だぞ? アタイはここにいるタゴンと身を固めることにした!ただ、タゴンは義理堅くてすぐにギルド長の座に就くと首を縦に振らなかった。だから、アタイも涙を呑んでタゴンが研修の勤め終えるまでギルド長として奮戦する事にした!」



なっ!!?!



その場はまるで阿鼻叫喚と化した。


「なにぃぃぃぃ?!」

「タゴンめ!このムッツリがぁぁぁ!儂らのスカー嬢を傷ものにィィィ!?」

「イヤこれはめでたいことだろう!? これで我らが漁師ギルドの天下だぞ!」

「タゴン様ァァ!なんでそんな銛女とぉォぉォ?!」

「クソっ!スカーめぇぇぇ!」

「タゴン、ギルド研修頑張れよ? もう帰ってこなくていいからなっ!」

「タゴン様、シトリーさんを僕にくださいっ!」

「流石だ。未来の兄弟」

「うっそ!マジでぇ!? タゴン様!あんなところまで触らせてあげたのに…」

「おい!ロディ!その話詳しく!?」

「もう生きていけない。…死のう」


俺に向かって罵詈雑言が浴びせかけられる。あと、どさくさに紛れてシトリーに求婚した奴は許さんぞ。それと最後の方に聞こえた声の奴はなるべく強く生きてくれ…。


俺はこんな事態を引き起こしたスカーレットをどうしてやろうかと睨みつけたが、そんな事も気にせずにスカーは無遠慮に「もう人前で遠慮することはないな!」と言って俺の腕に抱き着く!くそ!とても…大きいです!

というか君、遠慮なんてしたことあったの?


「そしてアタイは花嫁修業として、イースト家で世話になるから少しの間ギルドから離れるよ。アンタ達もそのつもりで今以上に気合い入れて仕事しなっ!わかったね!!」


俺は思わず膝から崩れ落ちそうになる。これから大丈夫なんだろうか?



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