よりによって転生とは。⓭
何か早足で書いてる割には内容が薄かった第一部これにて完となります。
とりあえずここまで読んで頂いた方に感謝を捧げます。ありがとよっ!!(自称男前ボイスで)
さて、暫しの間はこの小説の設定資料というかメモのようなものの投稿が続くと思います。
読んで頂ければ、「この小説、こんなに痛かったのか」と思って頂けるのは必然です。
それと1番重要なことですが、最近寝落ちが酷い(身勝手の極み)ので更新日を偶数日にすることにします。しました!
何故かって? そ、それは…(モジモジ)
ゲームで遊べないからだよおおおおおおおおお雄ぉォォ!!?!
あと不定期更新を旨とする他の話も書きたいですしね。基本は書き貯めはしないスタンスなので、皆さんが読まれる小説はその日の内に書かれた新鮮でフレッシュ!(2回目)な小説です。
今後ともお付き合い願えれば幸いです。
「もう帰っていいか?」
開口一番にそれはないだろうが、俺も親父殿に全力で賛成だった。
各ギルドの話し合いという名の罵り合いがかれこれ半曜(半日)は続いている。お袋はシトリーが心配するからと早々に家に戻っている。俺も一緒に帰りたかったが、俺について話し合ってるんだから抜ける訳にはいかないか。 でも俺、その話し合い?に一切加わってないけどね?
「い、いや!待って下さい!?ハング先輩っ!! もう話し合いは纏まりつつあるのですっ!」
疲労困憊となったギルド本部統括補佐のアルフが親父殿と俺に縋りつく。さっきまでギルド長達に揉みくちゃにされていたからだろう。喋りも少し素に戻りつつある。 大変そうだなー。
「なあアル。出世なんて考えないでよお、戦士ギルドに戻ってこないか?多分、お前長生きできんぞお。 俺が衛兵隊に口聞いてやるから」
親父殿が家族以外にも優しい顔をしてるのを久し振りに見たかもしれない。うん、俺もそう思うよアルフさん。 ただまあ彼が抜けると現状ギルド統括本部は空中分解しそうだけども。
「できたら俺もそうしたい… い、いえいえそんな事は私にはできませんっ!皆様っ!!お気持ちはわかりますが!もうその辺で止めてくださいよ!! いいですね!?」
するとギルド長達は渋々自分の席へと戻っていく。
「では先程の取り決め通り、タゴン様が成人した暁には、適性を厳正に見極める為に研修期間を5全節(5年間)とします。そして、各ギルドでそれぞれ各1全節を担当して頂きます。順序としましては戦士・魔法・冒険者・生産・神殿の順に就いて頂きます。」
ああ過酷な5年間になりそうだ。そこに俺の意思が殆ど加わってないのが酷い。選べたのは就くギルドの順番くらいだ。
「ふははっ!やはりタゴンは見る目があるぜっ!そんなに私のギルドに来たかったのか? 全く可愛いヤツだな。流石ハングの息子なだけはあるっ。安心しろ私が手ずからお前を最強の戦士に鍛えてやるからなっ!! なーはっはっはっ! っとイカンイカン。酒が切れると調子が悪くなってきたぜ」
そう言って豪快に笑いながら俺の顎をウリウリしてくる。アル中幼女である戦士ギルド長、クオリキは非常に機嫌が良かった。
イヤ単純に面倒なことは早めに片付けたい主義なんだよね俺。むしろ戦士ギルドは遠慮したいかなー?なんて言ったら親父殿がションボリすること必至だし、下手を打つと目の前のウサ耳チャイナ服に地平線の果てまで蹴り飛ばされかねない。そこまで俺は命知らずじゃあない。
よし、この際だ、できる限り強くなっておこう。自分の命を守る為に!
「ちょっとぉ?アンタ調子に乗らないでくれない?!坊ちゃんは戦士ギルドに就くって決まったわけじゃないのよお?そこんとこ解ってるのかしら、この豆筋は。まあ仕方ないわねえ~、安心しなさい坊ちゃん!坊ちゃんが頑張って1全節苦行に耐えられたら、その後は面白くて楽しい魔法ギルドが待ってるからねっ。アタシに掛かればシトリーちゃんと一緒にすぐギルドのツートップになれるわよお」
すると白いモジャモジャの塊がクオリキを摘まみ上げて後ろへ放り投げる。「何すんだ!髭ジジイっ!!」という怒りの声をシッシッっとあしらうこの男?が魔法ギルドの長、マギアオリアハットである。
どうにもマギーの爺さんは俺に魔法の才能、即ち《マナ》の才能があると思ってるらしい。確かに俺の個体値の魔適性はA(準最強)だから不可能ではないと思うが…
「でもやっぱり2全節は欲しいわねえ~。そも坊ちゃんはハングちゃんの息子だけあって戦闘のセンスはもう十分にあると思うんだけどお。どうしても魔法の分野となると不安はないわけじゃあないのよねえ?」
そう言ってアルフを見やる。アルフは「またか…」という表情になった。
「お待ち頂きたいっ!我ら冒険者ギルドを蔑ろにするおつもりか?!」
そういって巨人が立ち上がる。デカ過ぎるだろ…建物が弾みで震えたようだ。彼は冒険者ギルドのギルドマスター、マーティアスだ。流石にマギーの爺さんも怯んだようだ。
「分かってるわよお?!ちょっと、こんなか弱い老人相手に乱暴しないでよねえ~?頼むからあ」
「私めの率いる冒険者ギルドは常に新しい人材を求めております。そしてタゴン様のような有望な若者が冒険者となる姿を見て、多くの冒険者にとってこれ以上ない刺激となるはずです。ある者は勇気を得、またある者は今以上の研鑽を積もうと考えるはずです。 しかも、戦士・魔法ギルドを経て我がギルドに赴いて頂けるのはまさに理想と言えます。私めもかの東の英雄ハング殿の御子息には大変期待しておりますので」
そう言って親父殿に眼差しを向ける。勿論その親父殿はこれに応える。
「別に俺は冒険者に偏見を持ってる訳じゃあないんだ。それに俺が昔、冒険者の真似事みたいな事をしてた時にマーティアスのおやっさんには世話になったしな」
へー親父殿ホント顔広いなあー、流石は英雄。冒険者?傭兵時代の話だろうか。
親父殿は懐かしがるような苦笑いを浮かべていた。 だが、
「でもなあ、冒険者の実力はピンキリだし、言いたくは無かったが素行に関してもそうだろ?大してならず者と変わらない連中もいる。そういう連中に息子の命を預けるには正直不安だな」
「お恥ずかしい限りだ、そのような痴れ者が在籍していたことは事実。しかし、私めも冒険者ギルドが”ギルドにまともに就けない、ならず者のたまり場”と長い間言われ続ける中傷に耐え、払拭したいと願う者です。タゴン様が仲間内から刃を向けられることを必ず防ぐと御約束致しましょう」
そう言って巨大な亜竜であるマーティアスが俺と親父殿に頭を下げる。
「よしっ!次は僕の番だよ。まあ気を楽にして聞いてくれたまえ、君が最も活躍できるギルドは生産ギルドをおいて他にないんだからね」
そう言って俺とマーティアスの間に立ちはだかるハーフエルフの男。生産ギルドの長、ドラムカン・ノースである。女性のような綺麗な顔をした壮年の変人。それが俺の印象だった。
「ちょっとアタイの事も忘れないでおくれよっ!まったくアンタらばっかり出しゃばっちゃってさ」
そう言いながら、俺とドラムカンの間に更に割り込む女がいた。やめろって!そのたわわ過ぎる胸が大変にけしからんくて、俺に押し付けられて柔らかいだろうがっ!? まさか、わざとか?
俺の現在バイト先としている漁師ギルドの長、スカーレットだ。顔を真っ赤にしている。イヤ元の肌が綺麗な赤と白なのでピンク色と言った方がより正しい。
「やれやれ。それについては話が着いたはずだろう。君の漁師ギルドと商人ギルドは今回の候補から外すと。タゴン君の適性を見ると言うのなら、彼は既に2全節も君のギルドで経験を積んでいる、成果のほどは今回で十二分に分かったでしょう?」
「だ、駄目だよっ!タゴンはまだまだ経験が足りてないんだっ!こんな半端で放り出すほどアタイのギルドは薄情じゃないんだよ!! …そ、それに次の大女神の節からはア、アタイとふたりで組んで漁に出るんだからっ」
あ゛?!誘ってんのか?!結婚してやろうかっ!! おっと、いけないクールになるんだ俺!そう、俺はクール(繰り返し)
ふーっ。何とか落ち着いてきたぞ、大丈夫だ、何も問題はない。俺はクールだ。
「スカー嬢、あまり彼を困らせてはいけませんよ?それに漁師ギルドにとって彼の存在はとても大きいのは僕だけではなく、皆が承知です。ですから大女神の節には漁師ギルドを一時的に優先するという話になったでしょう?」
「ううっ…それは解ってるけどさあ。 ボソッ(それじゃあタゴンに会える日が殆どないじゃないか)」
聞こえてますよー?サハギンの聴力を舐めないで欲しいものだ。あと胸を目の前で揺らすな。
スカーレットの好意は素直に嬉しいのだが、大女神の節(火・水・風・木・土の5節)とはいわゆる長期休暇の節なのだ。全てのものが仕事を休む訳ではないが、戦士・魔法ギルドなどの公務に就くものが帰省したりする。逆に漁師ギルドや商人ギルドは稼ぎ時という訳だ。
ちなみにこの俺の意思を半ば無視した公約によって俺の休みが大幅に削られるのは言うまでもない。
そこへのっそりと商人ギルドの長の魚人、スクーンがやってくる
「そうだのン。落ち着いて欲しいのン、スカー嬢ン。俺だってこんな百人力な又甥が居てくれれば、運送関係で多いに儲けれそうだのン。でもタゴンはぶっちゃけ商人向きじゃあないと思うのン?欲がないからのン。今まで通り捌き切れないアイテムの専売を受けれるだけで俺としては十分だのン」
「全く、金儲けしか頭にないのかよ?叔父貴はよお」と親父殿が野次を入れるとまた小言の嵐を浴びせ掛けられている。懲りないなあ。
そしてどこか背景に溶け込んでいたかの様に沈黙を貫いていた神殿ギルドの長、サイナモン司祭がニュルリと俺達の前に躍り出る。
「拙僧からは特筆してタゴン様にお願いすることなどありません。強いて申すのであれば、神々は太陽と女神の月を通して全てご覧になられておいでです。今後ともタゴン様には善行を積み、女神の期待に応えて欲しく思います。またタゴン様に特定の女神と密になることを我ら神殿関係者は強制したりは誓って致しません。と、これが神殿の総意と受け取って頂いて結構です故」
そう粛に述べると頭を下げ、アルフの方を一瞥してから下がっていく。
「今後も調節すべき点はあると思いますが、それは統括が戻られ次第詰めていきたいと思います。では、ギルド長の皆様、一応はこの手筈でタゴン様を指導するということでお願いします!」
「「「「「「「わかったぜ!(大丈夫よお)(わかったのン)(承知)(僕は問題ないよ?)(…わかったよ)(有難う御座います)」」」」」」」
「では解散っ!!」とアルフが号令を掛けるとギルド長達は眠そうな表情を浮かべながらゾロゾロと謁見室から退場していく。その最中、
「後でギルドに顔出してね。色々と決めたいから」
スカーレットが俺の腕を引っ張りながら耳元で囁く。腕がとても温かいんだが。
「先p、あっいえイースト氏と御子息には大変ご迷惑を御掛け致しました。ギルドを代表して改めて謝罪させて頂くことをお許し下さい! では、私は今回の件を首長様に報告し、統括に急使を送りますので」
「大変だなあ、お前」と親父殿がアルフの肩を叩く。そして俺達も家に帰ろうとした時だった。
「た、大変です!アルフ統括補佐!あ、タ、タゴン様もおいでだったのですか? 助かった!?」
アルフがゲンナリとした表情も隠さずに「何があった?」と聞いた彼はギルドの伝令役の鳥人だ。
鳥人は有翼種族の代表的な種族のひとつである。見た目は短い嘴と羽毛を持つ獣人だが、自身の腕を翼に変えて飛行することができるのだ。
しかし、伝令とは。よく見るとどこかで見た服装だな…確か海、そうだ港町のサヴァだ。
「数曜の後に、砂の邦のアルージュ家の姫君であるラシー・ルルゥ・アルージュ様とその従者の一団がここフォー・リバーにお越しになります。…それで、数曜滞在なされる間の姫の接待役として、その、…タゴン様をご指名されています!」
そう言い切るとアルフに書簡を手渡す。その書簡には蝋で封がされていたが、間違いなく神殿印だな。間違いない。
はあー本当にフォー・リバーに来るのかー。一難去ってまた一難。とはこのことかだな。
親父殿もアルフも俺とルルゥのやり取りを知っているので一様に顔の疲労の色を濃くする。
仕方ない、俺の浅慮が招いたことだ。誤解があれば解かねばならんだろう。
そう俺が気持ちを切り替えていると、
「た、大変だ!アルフ統括補佐!あ、タ、タゴン様もおいでだったんですかい? こりゃあ、助かったぜ!?」
もうひとり鳥人が飛び込んで来た。千客万来かよ、この謁見室。 そしてまた、俺?
「ありゃあ、兄貴じゃあないか? 確かここ最近は東の山の邦との境にある《バーニング・ストーン》に赴任してんじゃあなかったのか」
「ぜぇ、ぜぇ…なんだ兄弟じゃあねえか? お前も南の海、サヴァの港のはずだろ」
そんなやり取りを聞いているのかどうか分からない表情をしてアルフは腕を前に出した。その表情はもはや冷めたを取り越し、殺意すら目覚めそうな極寒の眼差しであった。
「は、はあっ!内容は数曜の後に、山の邦の連合軍、ガガー家の将であり姫君でもあるカルシナート・リズ・ガガー様とその従者の一団がここフォー・リバーにお越しになるとのことで。…それで、数曜滞在なされる間の姫の接待役として、あの、…タゴン様をご指名されているんでさぁ!」
「「カルシナート・リズ・ガガーだとっ?!」」
アルフが復活し、親父殿も食いつく。カルシナート・リズ・ガガー?全然知らない。 誰だ?
「イースト氏、山の邦の連合軍の”凶刃カルシナート”と言えば…あの?」
「そうだ。連合軍の最強の剣姫、S級(最強)どころかSS級(災害)に匹敵すると言われる最強の女剣士。しかし何故、そんな大人物が… イヤ?待てよ。確か凶刃カルシナートはラミアの原種還元だったはず…!」
そう言って二人は、俺を物言わぬ疑いの眼差しで見つめてくる。
え。今回ばかりは何もしてないって?! てかラミア繋がりって関係ないだろ?!
さらにカオスなってきましたね?(白目)
本編の更新は下手すると今月中旬になるかもです。
あ、でも閑話みたいなのは書くかもです。
ヒントはテューン(笑)




