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王国会議

 ダンジョンから帰還してすぐ俺は学園長室へ呼び出されていた。

 用件は尋問だ。


 何故実力を隠していたのか?からはじまり、根堀り葉堀の質問が繰り出される。

 この場には学園長をはじめ、王都から派遣された調査兵長や、魔術機関から派遣された責任者を含め、

 国防を任された錚々たる面子が揃っている。


 ここまで大事になってしまい、隠しきれなくなった俺はある程度包み隠さず客観的事実を述べることにした。

 

 魔力総量が10万以上超えていること、魔族と相対したことがあること、平穏な生活を送りたい為実力を隠していたこと、etc。



「まさかここまでとはな……」

「うむ、噂はかねがね聞いていたが……」


 各々の反応に些細な違いはあれど、皆一様に俺への実力に驚き戸惑っているようだ。


(まあ、俺自身が規格外すぎるしなあ……)


 自分でもその自覚はある。およそこの世界でまともな人間らしい生活を送れる力ではないのだから。


「それで皆さんに俺から提案があるのですが」


 静かに静まり返る室内で俺が言葉を発する。

 皆は俺の発言の一言一句を聞き逃さぬよう固唾を飲み言葉を待ちかねている。


「俺は平穏に暮らしたいだけで過度な干渉を望みません」

「例えば国同士の争いに巻き込まれる等まっぴらごめんですし、権力争いなども嫌いです」

「しかしながら国を脅威に晒す魔族等が現れた場合、俺の存在を秘匿してくれるのであれば排除に協力を惜しみません」


 俺が言いたいことだけを簡潔に伝える。


(果たしてどんな反応が返ってくるだろうか、場合によっては国を出るという選択肢も……)


 そんな風に俺が考えていると一人の男が室内の沈黙を破る。


「はははっそんな事か! いいだろう国王の儂が責任をもって誓おう」


 俺の前に立ちはだかるはアルフレッド王国が誇る賢王、クルセイダース国王。

 ドでかい体格にヒゲをたくわえたその様は、まさに王様といった貫禄の持ち主である。


(かっこいいなあ、王様……)


 俺も将来はこんなダンディな感じになれるのだろうか。なれたらいいな。

 そんな風に考えながら国王と軽く会話を交わすことにした。


「実は王様、アルフレッド第二迷宮の事で話がありまして……」


 話とは他でもない、魔物や魔族の事である。

 話を聞く限り今までは12階層まで探索済みということであったが、昨日俺が索敵した限りこの国の戦力ではとても2階層すら踏破できそうになかったのである。


「少なくとも2層以降の偶数層に昨夜の魔族と同等程度か以上の魔力反応を感知しました」

「なッ!?」


 部屋で俺の会話を傍聴している者たちが一様に同等の反応をする。

 何故ならば昨夜の魔族は国の最高実力者の騎士団長を一撃で屠るほどの実力があったからだ。

 国の重鎮たちにとってはよほどの凶兆であろう。


(そもそも団長は死ぬ前に魔族と何度か相対していると言っていた筈だが、何故あんなにも呆気なくやられた……?)


 俺にも度重なる疑問はある、あの程度の技量で魔族と相対していたと言っていた事実。

 虚勢の類か?とも思ったが、騎士団長の人柄を聞くたび虚勢とも俺には思えなかった。

 

(元々あの日迷宮で出会った魔族は俺の世界でいた高位の魔族に匹敵するはず)

(この世界で渡り合える者がロクにいるとは思えない……)


「なのでこれ以上無駄に戦力を迷宮に割く必要はないと思うのです」

「王様の権限で一度迷宮の立ち入りを禁止していただき、俺に調査を任せてもらえればと思った次第です」


 おそらく何らかの原因で今までの迷宮とは違う自体が起こっているのだろうと推測する。


(果たして調査を俺に任してもらえるだろうか……)


 この交渉はおそらく五分だと思った、いくら実力があるとはいえ俺は年端も行かぬ子ども。

 危険な調査にそう易々と子供一人を任せるとも思えないからだ。


「……わかった、許可しよう」


 一瞬考え込んだ表情をした王様は、顔を上げるとすぐさま笑顔で俺の取引に応じてくれた。


「ありがとうございます!」

「うん、詳細は追って伝えるとしよう。 これにて失礼するよ」


 そういうとすぐさま王様は踵を返し、室内を出ていく。

 部屋に残された俺は魔族対策会議と称して、国防を任された重鎮たちにこの後質問攻めをされる羽目になった。


(平穏な生活はほど遠いな……とほほ)


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