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帰還
戻る、というのは目が覚めることなんだと、布団から目が覚めて思う。
畳敷きの部屋に一人、彼女はむくりと起き上がりインスタントみそ汁を雑然と置く。
やかんを水で少し洗い、やかんの中に水を入れつつ、流れる水に人差し指を触れてみて冷たさを感じる。
簡易ガスコンロにガスボンベを取付け、ガスのにおいを少し感じながら火をつける。
現実に戻ったことを一連の行動から知る。
外国から返ってきたときに文字表記が異なることにより自国に帰ってきたことを知るように。
この現実は生きる事が必要なのだが、死ぬことも必要なんだと思う。